市川森一さん | 音楽見聞録

音楽見聞録

単なるリスナーが好きな音楽について勝手きままに書き散らかし。
CDレビュー中心のつもりが、映画や書籍など他の話題も。

脚本家の市川森一さんが亡くなった。

なんと言ってもウルトラセブンである。金城哲夫氏や上原正三氏と並んでウルトラセブンの世界観を形作る重要なシナリオを書いた一人です。

共同執筆を除けば・・・

第13話 V3から来た男
第24話 北へ還れ!
第29話 ひとりぼっちの地球人
第37話 盗まれたウルトラアイ

と言った異色作が目白押しです。
13話の大人同士の多くを語らない友情、24話の母と子の思いやり、29話の青年の孤独で純粋で悲しい希望などドラマ的要素の多いストーリーが中心です。

そして特に印象に残る第37話が異色。

この回は格闘シーンはおろか怪獣も登場しません。宇宙人もただ人間の少女の姿をしているだけ。セブンが登場する時間もごくごくわずか。子どもには不満で一杯の回です(笑)

マゼラン星人のマヤは地球破壊工作のため送り込まれる。
マゼラン星人にとって実は地球は侵略する価値すらない星として認識されている。

こんな狂った星は侵略する価値も無い、と言い切るマヤ。そしてダンからセブンに変身するためのアイテム「ウルトラアイ」を盗む。
セブンに邪魔させず、恒星間弾道弾を打ち込み地球を破壊しようとする計画。

・・・しかし、弾道弾発射前に星からの迎えを待っていたマヤの前には誰も現れない。

ダン(ウルトラセブン)は彼女に伝える。「誰も来ない。君は最初から見捨てられていたんだ。」と。

マヤはダンがセブンに変身できないよう盗んでいた「ウルトラアイ」をそっと差し出す。

弾道弾の到着は防がれ、「この星で一緒に生きよう」と告げるダンの前からマヤは姿を消す。

夜のざわめく歓楽街の雑踏を歩くダン。「なぜ、他の星でも生きようとしなかったんだ・・・僕だって同じ宇宙人じゃないか」

・・・子ども番組とは思えない悲しい結末。人間ドラマとしての完成度の高さ。正にウルトラセブンの価値を高める秀逸な一作です。

蛇足:私は認識して無かったのですが、マヤが最後ジュークボックスを操作しその煙の中に姿を消すシーンで、そのジュークボックスの操作ボタンのアルファベットには「I」が欠けている。
もちろんウルトラ「アイ」が無いことと「愛」が無いことのダブルミーニング。素晴らしい演出です。

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市川森一脚色のこれも大好きです。すき焼き店でのシーンは忘れがたい。
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