Viva La Vida / Coldplay | 音楽見聞録

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 いや、実に久しぶりです。最近のバンドの新作アルバムを、それも予約して購入するなんて。そして見事に策にはまりヤられてしまいました。素晴らしい・・・


 英国だけでなく、何故でしょうか米国でも人気のあるcoldplayの4枚目です。これまたむちゃくちゃ売れるんでしょうね。

 メランコリックで内省的な音楽性はどう考えても米国ではあまり人気が出るとは思えないのですが、単なるビート系やヒップホップが衰退しつつあると思われる米国の音楽業界でもいわゆるメロディ重視の復権がある証なのでしょうか?


 coldplay、全世界で売れまくったと思われる前作の「X&Y」では息が詰まりそうな密室的な香りいっぱいのサウンドを展開しておりました。秘められた部屋の中で展開する美しいばかりの感情の嵐。それはそれでもちろん素晴らしい作品でしたが、「個性」という点では今回のアルバムはより突出している印象を受けます。敢えて前作とはかなり異なる手触りを求めていたのでしょう。密室から外へ踏み出し一つ枠をはずした感じ。


 今回はシングルを意識せずアルバムをトータルに作り込んでいます。コンパクトな10曲で完結した世界を見せてくれます。アラビックな旋律が出てくるとかカントリータッチのギターがあるとかそんな事は些事であり、音楽表現に対する彼らの解放感を味わって欲しい。


 これは恐らく彼らでなければ作ることの出来ないサウンドの壁です。恐らくブライアン・イーノの手になるであろう音の配置がまた絶妙です。ミックスの仕方によっては全く別の印象を受けると思われる曲も少なくありません。

 いやはや、中でもアルバムタイトルの一部でもある「Viva La Vida」の出来は文句のつけようがありませんね。全体を彩るそれは力強く美しいストリングス。その中をクリス・マーティンのVoがしなやかなメロディで駆け抜ける。更にコーラス隊が加わり、エルサレムの鐘まで鳴り響いてしまう。いやこれぞcoldplayサウンドでしょう。


 敢えて言ってしまえば私にとってcoldplayはロックバンドではありません。彼らの音楽に「ロックン・ロール」は全く感じません。どこかの新聞でのインタビューでクリスはこれまでの最上の音楽体験としてジョン・ウィリアムスのサウンド・トラックを上げていました。ルーツがこのあたりにある、これ分かる気がします。


 実は彼らは私の中では完全にプログレ・フィールドのバンドなんです。ブルースやロックロールにルーツをおかない美しいメロディとオーケストレーションが根底にあるサウンドの壁。変拍子もごく自然に出てくる。

 前作まで何となく見えていた「レディオヘッド」の影がこのアルバムにはありません。「拘り」を捨てた彼らのオープンな個性あふれる音楽が提示されています。クリスの歌い方はどこかピーター・ガブリエルを彷彿させるんです。「X&Y」では特にそれを感じていました。う~ん、今回のアルバムでもそれを感じます・・・


 今年のサマーソニックのヘッドライナーとして来日するようですが、彼らに野外コンサートとかはあまり似合う気がしないのは私だけでしょうか??


 最近のUKものに飽き飽きしている人にもこのアルバムはお薦めです。彼らの野心が伝わって来ます。