- ケストレル(紙ジャケット仕様)/ケストレル
- ¥2,520
- Amazon.co.jp
- 1 THE ACROBAT
2 WIND CLOUD
3 I BELIEVE IN YOU
4 LAST REQUEST
5 IN THE WAR
6 TAKE IT AWAY
7 END OF THE AFFAIR
8 AUGUST CAROL
「幻の名盤」として紹介される事の多いケストレルの「ケストレル」。1974年に録音され1975年に発表された1枚。このバンドの事はあちこちで言及されてるし、国内盤のCD再発売も数回あるので決して「幻」という訳ではないと思うのですが、こう呼ばれる原因はケストレル自体がわずかアルバム1枚で解散してしまったためでしょう。
あとはジャケットは見た事あるけど、聴いた事がない、という人もかなり多いアルバムだと思います。
たった1枚での解散の原因は中心人物であるギタリストのデイヴ・ブラックがデヴィッド・ボウイ(ジギー)から捨てられたバックバンド「SPIDERS FROM MARS」に、ちゃっかりソロデビューを目論み脱退したミック・ロンソンの後釜として引っ張られたためです。
その後のブラックの活動があまりぱっとしなかった事を考えるとケストレルでもう少し自分のサウンドを前面に出した活動をすべきだったのでは?とつい思ってしまいます。ただ、ブラックはSPIDERSにおいてもかなりの曲を提供しているので、やはりこの「ケストレル」というバンドに何らかの素晴らしい化学反応が生じたとしか思えません。
バンド・メンバーはデイヴ・ブラック(g,vo)、ジョン・クック(key,synth,mellotron,vo)、ディヴィッド・ホイッタッカー(ds,perc)、フェンウィック・マイヤー(b)、トム・ノーラス(vo)の5人。7曲目を除いては全てデイブ・ブラックの手になる作品。
「幻の」と謳われるからには内容のクオリティも当然必要ですが、このバンドのサウンドは・・・う~ん・・・確かに素晴らしいです、コレが。彼らはプログレの枠の中で語られたり、或いはジャズ・ロックの範疇で語られたり(エレピの使い方とか)と、何となく落ち着く場所がない印象ですが、それもこのバンドの音楽性の個性的な部分を示す一例かと思います。逆にそのとらえどころの無さが聴く人を減らしてしまっている理由かもしれません。
変拍子の使用や強引な展開、メロトロン(効果的!)が鳴ってる曲が多いためプログレ扱いされることもありますが、基本的にはポップ・ロックです。また途中の展開がジャズ・ロック的な部分を見せる曲もあったりします。とにかくメロディが良い。ただひたすら浴びて、単純に楽しんで欲しい。
ストレートに来たかな~と思うとそのまま別の場所へうつろい行く、そんな風にメロディやコードが動いて行く瞬間がたまりません。収録された8曲がそれぞれ水準以上の出来具合で正に捨て曲がないという事も名盤たる所以でしょう。
同時期の個性的なポップ・ロック・バンドと言えば、贅をこらしたシニカルな10ccとも比較できるかと思いますが、ケストレルの方がよりシンプルな楽器編成でストレートなそれでいて影のあるメロディを奏でている印象です。この手触りはやっぱり「ブリティッシュ」なんですよね。
また曲によっては右チャンネルからキーボード、左チャンネルからギター、真ん中にドラムという昔風の楽器定位などには確信犯的な部分も感じます。(それとも単純に録音やミックスにあまりお金がかけられなかったのか・・・)
ギターとキーボードの演奏は見事で、ここぞと言うところで盛り上げてくれます。Keyのジョン・クックが唯一提供した「END OF THE AFFAIR」も叙情味溢れる非常に美しい曲に仕上がっています。彼のメロトロンの使い方も堂に入ってます。
ドラムの音色等、音処理の部分でどうしても古くさく感じる部分もありますが、今でも手を伸ばして繰り返して聴いてしまう捨てがたい魅力を持ったアルバムです。癖になる感じ。
未聴の方は是非一度手にとってみてください。恐らくシンクロする人は1曲目の「アクロバット」からヤられますよ。序盤で曲がスイングし出す頃にはもう彼らの掌中にはまったも同然です。
ところでジャケットが何だか妙なのですが・・・まあ鳥ですよね・・・「ケストレル」とは長元坊(小型のハヤブサ類)という鳥のことで、この鳥はなんと紫外線を識別できる視力を持っているそうです。彼らも何か常人には見えないものを識別していたのかもしれません。
蛇足・・・本当に個人的で的はずれな印象だと思うのですが、この人達の描くノスタルジックなメロディは何故か「ハーパス・ビザール」を思い出させます。どこかに共通項があるんだろうか?