ザ・コミットメンツ | 音楽見聞録

音楽見聞録

単なるリスナーが好きな音楽について勝手きままに書き散らかし。
CDレビュー中心のつもりが、映画や書籍など他の話題も。

ザ・コミットメンツ
¥895
Amazon.co.jp

ザ・コミットメンツ(1991)


 全くもって久々の更新です。もはや忘れ去られてしまったか、このブログ・・・


 という訳でアラン・パーカー監督の音楽映画です。アラン・パーカーと言えばやはり「フェーム」とか「ダウンタウン物語」などが有名でしょうか。大好きなピンクフロイドの映像版「ザ・ウォール」の監督でもあります。
この作品「コミットメンツ」は音楽映画としてはかなりの完成度を誇る名作だと思う。


 不況が続き慢性的に職の無いダブリンの若者達。ジミーは「ソウル・バンド」を結成して音楽的な成功を目指すマネージャー。ミュージシャンではなくマネージメントする人物が主役っぽいという所も少々変わっている。
彼らにとって音楽は通常の生活に常に通奏低音として流れており、正に生活に密着している。(だから良いバンドやミュージシャンが輩出される訳だ・・・)


 メンバー募集広告に集まったミュージシャンのオーディションシーンがまた最高に面白い。ヘビメタからフォーク迄様々なジャンルのミュージシャン達の自己満足世界が展開する。ただねえ、ザ・スミスを弾き語りしたシンガーが呆れかえられてしまうシーンは個人的にちょっと悲しいかな・・・まあソウル・バンドのメンバー集めなのでそれはそれ。

 とにかく音楽を知り尽くしていないとこういう発想は出てこないだろうな・・・まるで黒澤の「七人の侍」の侍集めみたい。


 この映画を「青春ドラマ」と紹介している所もあるけど、この映画にはいわゆる「きれいごと」じゃない部分が多い。メンバーは皆、金に汚いしギラギラした欲まみれだ。隙あらば相手につけ込む。行動も自己中心的で自分勝手。決して経済的にも社会的にも満たされているとは言えないアイルランドの若者が置かれているであろう息が詰まりそうな閉塞的な状況を見事に描いているのでは?


 ただ、こういう彼らが本当に純粋に光る瞬間がある。
移動のバスの中で「Destination anywhere」が自然に皆の合唱になるシーン
教会でパイプオルガンを弾いているキーボーディストの曲が何時の間にやらプロコルハルムの「蒼い影」になってしまうシーン
ステージで熱い演奏を行った後の笑顔。
胸があつくなるようなこれらのシーンは音楽を通してのみ表現可能な至高の瞬間である。この瞬間だけ彼らはあらゆる軋轢から解放されている。本当に良い顔を見せてくれる。音楽の持つ力の偉大さを感じる。


 しかし彼らはバンドとしては幸せな結末を迎える事はできない。音楽的には結実して行くが人間関係は悪化する一方で、バンドの結成から離散までバンド経験者にとっては絵空事ではない頷けるようなシーンばかりが続く。


 この映画はサウンドトラック盤が大ヒットし、サントラとしては珍しく全米でプラチナ・アルバムを獲得している。当時は急遽第二弾を作成していたはず。
日本で公開された時は何だか期間が短くてあっという間に上映が終わってしまった記憶がある。何だかね~


 今回発売となった初回限定の廉価盤は是非とも買うべし!
特典として「ドキュメンタリー ソウルの救世主たち(約25分)」「ミュージック・クリップ「トリート・ハー・ライト」」「オリジナル劇場予告編(2種)」が収録されている。