Hergest Ridge / Mike Oldfield | 音楽見聞録

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Hergest Ridge/Mike Oldfield (1974)


 マイク・オールドフィールドの初期三部作である「チューブラーベルズ」「ハージェストリッジ」「オマドーン」のうち一般的には最も地味な印象を持たれているのがこのハージェスト・リッジではないだろうか。


 宅録の元祖みたいなマイクの初期の三部作はいずれのアルバムも水準以上だと思うし、どれを聴いても損することはないと思う。これが10代後半~20代に作成されたとは信じがたい。3作品とも片面1曲づつという構成。でもはまるとコレをいつまでも聞いていたくなるんです。


 「チューブラーベルズ」の緊張感、初々しさ、目まぐるしい展開、激情感、「オマドーン」の完璧な構成、派手で完成度の高い余裕さえ感じる音世界などと比較するとこの「ハージェスト・リッジ」は非常に穏やかな佇まいを見せている。


 音的にも他の2作と較べるとそれほど破綻なくゆったりと進んで行く。(最終部はちょっとスゴイが・・・)チョイスされている楽器も前作に比較するとアコースティックなものが多いような気がする。旋律にも前作以上にケルトの系譜を感じる。
 しかし、これがなんとも優しげで心地よく響く。この印象が強くあり、結局のところ初期三部作ではこれを一番聴いているような気がする。


 チューブラーベルズが映画「エクソシスト」に無断使用されてしまった事で本人の意向とは全く異なるイメージでの売れ方をしてしまったのですが今となっては彼の名を売るのには非常に有効だったと思う。

 またチューブラーベルズは確かヴァージン・レーベルの1号作品でやがて超巨大企業となった「ヴァージン・グループ」の最初の基礎を築いたのは間違いなくマイクの作品だったと思うとそれはそれでなんとなく痛快な気分になる。


 初期三部作はそのほとんどがマイク一人の演奏によるマルチトラックレコーディングで成り立っており、テーマや質感にも統一感があります。是非とも3枚とも聴くべきだと思う。そこには雨後の竹の子のように現れた電子楽器普及以後の雰囲気だけのシンセ・ミュージックとは全く違う感動があります。


 ハージェストにはトラッド的なメロディが随所に出てきて楽しめる。この人のルーツみたいなものが現れているのだと思う。次々と繰り出されるメロディは穏やかで叙情的な旋律の宝庫で、マイクの構築する思い切りパーソナルな音世界を十分に堪能できる。 このアルバムは特にジャケ写真のとおりパースペクティヴな気負いの無い心象風景が伝わってくる。


 ところで一つだけ不思議なのはこれをレコードで聴いた時、前面に出ていたはずのリードの旋律が奥に引っ込み、CD化の際にバッキングのフェーダーを上げているような気がする。メインで響いていた楽器の音がきえてしまい、聞こえてくる音の印象がちょっと違うのだ。リミックスというにはあまりにも変えすぎのような気がするのは私だけだろうか?気になる
 ・・・ところでしたが疑問が解消しました。実は初期の4作品はレコード時代にボックス・セットとして発売された際にリミックスがほどこされており、今のところそのあおりで初期のCDはその時のレコードを元にして作成されているとのこと。従ってレコードとはかなり異なるミックスとなってしまっている。しかし、どう聞いても絶対にリミックス前の盤の方が優れていると思うので是非オリジナルでCDを出して欲しいと切に願います。


 なぜか3作目「オマドーン」の写真がなかったので未掲載ですが、「オマドーン」は完成度から言えば最高峰です。ワールド・ミュージックの要素も多様に含まれ、子守歌を彷彿させるメロディも冴えてます。

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