縦糸横糸 / 河合隼雄  | 音楽見聞録

音楽見聞録

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縦糸横糸/河合 隼雄
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 ユング心理学者として有名な河合隼雄氏の著作です。内容は産経新聞の連載コラムのうち96年~03年の分を掲載しています。オヤジ狩り、O157、だんご3兄弟など少し前の世相を反映したショート・エッセイ的なものです。この本には堅苦しいところはありません。誰でも少しの時間があれば読め進めることのできるタイプの本です。


 まずここには小難しい心理学用語は出てきません。語り口は軽妙で優しい。

 ただ、ときおり振り返ざるを得ないような「ハッ」とする表現がちりばめられています。


 これらの世相に関する事件を語る時、臨床心理者としての「目」というのか視点の置き場が通常のマスコミとは少し異なる。対象に入り込むことをせず、まずある程度の距離をおいてこれらの事件をとらえているため、例えば加害者と被害者の中間にいるような印象で語ります。いわば公正な立場、というやつでしょう。双方が目に入っているため普通では考えつかない見方も出てくる。


 せっかくだからこれらの沁みる言葉を自分自身の中にきちんと沈潜させて、例えば日々の生活の中で実践して行こう、などと考えるとそれはもう何度も何度も噛みしめて読んで行くしか方法がありません。それだけの価値はあると思います。


 この本の内容は数年を経た今でも十分に通用することばかりです。というより、十年以上前からこのような問題を抱えてきているというのに(ある種の問題は実はもっともっと以前からずっとなのでしょうが・・)相変わらず世の中って変わっていない(この言い方も河合氏に言わせると×・・・・・)んだな~ということに驚きます。

 ますますこれらが普遍的な問題であるのだという事を実感させられます。


河合氏は日本のユング研究者の第一人者として有名です。従ってユング心理学関連の作品も非常にわかりやすく、この分野に興味をもたれた方には必携です。

特に下記に示した「ユング心理学入門」は京大で行った講義をまとめた書籍ですが、初版の発売から既に40年近く経過しているのに未だにユング関連では最高の入門書としてそびえ立っているであろう名著です。


この頃、シンクロニシティを経験しているあなた!自我や自己に関して興味のあるあなた!是非この機会に読んでみてください。


 そういえばこの夏、脳梗塞で倒れて以来今だ入院中らしいです。回復を祈念いたします。

ユング心理学入門/河合 隼雄
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