After Hours / The Bothy Band | 音楽見聞録

音楽見聞録

単なるリスナーが好きな音楽について勝手きままに書き散らかし。
CDレビュー中心のつもりが、映画や書籍など他の話題も。

Bothy Band
After Hours

bo


 1978年。ライブ・ステージを収録した作品。もの凄い臨場感と高揚感。

 そして激しいジグやリールの間に挟み込まれたその熱をさましてくれるようなクリアな声で歌われる優しい歌たち。

 ケルティック・バンドの「ボシー・バンド」の(なぜか)パリで行われたラスト・ライブを収録したもの。


 いつもケルトものを聞くと感じることだが、エレクトリックの楽器が入っていないのにこの煽り立ててくるような勢いは何なのだろう。
 メンバーも一流揃い。ユーリアン・パイプ界のジミ・ヘンドリックスとまで言われたパディ・キーナン、後に「チーフテンズ」に参加するフルートの名手マット・モロイ、VOを聴かせるオ・ドナール兄妹(この後二人とも様々なグループに参加して活躍する。特にレラティヴィティは最高!)、ブズーキを聴かせる、現在はプロデューサーとしてもあまりにあまりに有名なドナール・ラニー、後にパトリック・ストリートというこれまた有名なグループを結成するフィドルのケビン・バーク、という今からでは信じがたいスーパー・メンバー構成である。


 これら実力ミュージシャンの熱の入った演奏が面白くない訳が無い。ある評では「彼らのグルーヴは凡百のロック・バンドを凌駕している」というものがあったがこれも頷ける。曲が正にドライブしている。

 演奏の基本は、単音楽器の旋律のユニゾンである。一つのフレーズが次第に複数の楽器でユニゾンで演奏されやがてそれが固まりとなって旋回していくような様。


 ボシー・バンドはアイリッシュ・ミュージック界の中でもかなり過激な演奏をするグループとして名を馳せていた。トラッドメロディをダイナミックに繰り広げていく音楽は聴く人を熱くさせる。


 だがなぜだろう、たとえどんなに激しくてもアイルランドやイギリスを含むケルトの音楽にはアメリカ音楽には無い「湿気」と「叙情性」を感じる。言うなれば「憂いを含んだ暴発」である。

 これがあるからケルトはたまらない。一度はまると抜け出せない魅力に充ち満ちているジャンルである。