ウォーキングは腰痛改善に役立つことが、オーストラリアのマッコーリ―大学の研究で明らかになり、2024年6月の「The Lancet」に研究成果が発表されました。この研究によると、腰痛の既往歴がある成人が、定期的にウォーキングをすると、腰痛が再発しない期間が約2倍に伸びることが確認されました。世界では約8億人が腰痛に悩まされており、そのうち7割は1年以内に再発すると言われています。

 

研究グループは、腰痛が治った701人を対象に6か月間のウォーキングのプログラムと理学療法士による教育セッションを行うグループと、行わないグループの2グループを比較分析しました。その結果、ウォーキングを行ったグループは、行わないグループに比べて再発までの期間が長く、活動制限を引き起こす痛みの発生が少ないことが示されました。

 

ウォーキングには、場所や経済的な状況に関係なくだれでも取り組めるシンプルで手頃な運動であることや、脊椎とその周辺の筋肉への適度な負荷、リラグゼ―ション効果、エンドルフィンの放出などが、腰痛予防にウォーキングが有効な要因ではないかと研究グループは推察しています。

 

またウォーキングには心臓血管の健康改善や骨密度の向上、健康的な体重の維持、精神衛生の改善など、他の健康効果も多くあることも指摘しています。

 

【出典】 Natasha C Pocovi, Chung-Wei Christine Lin, Simon D French, Petra L Graham, Johanna M van Dongen, Jane Latimer, Dafna Merom, Anne Tiedemann, Christopher G Maher, Ornella Clavisi, Shuk Yin Kate Tong, Mark J Hancock. Effectiveness and cost-effectiveness of an individualised, progressive walking and education intervention for the prevention of low back pain recurrence in Australia (WalkBack): a randomised controlled trial. The Lancet, 2024; DOI: 10.1016/S0140-6736(24)00755-4