高脂肪食を食べ続けると腸内細菌が変化して脳の化学物質に影響を与えて不安を助長することがアメリカのコロラド大学のラットの研究で明らかになり、2024年6月の「Biological Resaerch」に掲載されました。研究では思春期のラットを2つのグループに分けて、一報には標準食、もう一方のグループには高脂肪食を9週間与え続けました。その結果、高脂肪食グループは体重が増加し、腸内細菌叢の最近の多様性が低下しました。特にフィルミクテスという最近群が増加し、バクテロイデスという細菌群が減少しました。この腸内細菌叢の変化が、肥満を引き起こす原因の一つになっているかもしれないと研究グループは指摘します。

 

さらに高脂肪食を食べたラットの脳では、セロトニンの生成とシグナル伝達物質に関与する遺伝子の発現が増加しました。セロトニンは、気分を良くするホルモンとして有名ですが、特定のセロトニンニューロンが活性化すると不安を引き起こす可能性があり、これがヒトの脳で起こった場合、不安障害や自殺リスクを高めると研究グループは指摘します。

 

研究者は、不健康な微生物が腸の内壁の働きを弱め、細菌が体内に侵入し、迷走神経を介して脳に悪影響を与える可能性があると指摘しています。また全ての脂肪が悪いわけではなく、魚油、オリーブオイル、ナッツ、種子などに含まれる健康的な脂肪には、抗炎症作用があり、脳に良い効果を与えると強調しています。

 

研究者からのアドバイスは、できるだけ多くの野菜と果物を食べて、発酵食品を食事に加え、ジャンクフードは控えるようにする、ハンバーガーを食べるときには、アボカドを加えることで、良い脂肪が悪い脂肪を一部分だけ打ち消す可能性があると述べています。

 

【出典】 Sylvana I. S. Rendeiro de Noronha, Lauro Angelo Gonçalves de Moraes, James E. Hassell, Christopher E. Stamper, Mathew R. Arnold, Jared D. Heinze, Christine L. Foxx, Margaret M. Lieb, Kristin E. Cler, Bree L. Karns, Sophia Jaekel, Kelsey M. Loupy, Fernanda C. S. Silva, Deoclécio Alves Chianca-, Christopher A. Lowry, Rodrigo Cunha de Menezes. High-fat diet, microbiome-gut-brain axis signaling, and anxiety-like behavior in male rats. Biological Research, 2024; 57 (1) DOI: 10.1186/s40659-024-00505-1