近年、夜間の気温が急速に上昇し、心血管の健康にリスクをもたらす可能性があることがドイツヘルムホルツセンターミュンヘンの研究で明らかになり、2024年5月の「European Heart Journal」に掲載されました。

 

この研究では、ドイツのアウクスブルク地域における夜間の熱暴露と脳卒中リスクの関連性を15年間にわたり調査しました。2006年から2020年の暖かい時期に診断された11,037件の脳卒中症例を分析し、夜間の極端な暑さ(HNE指数)と脳卒中リスクの関連を評価しました。

 

その結果、夜間の極端な暑さの日には脳卒中リスクが大幅に増加することが明らかになり、特にその傾向は2013~2020年の期間で顕著でした。さらに高齢者、女性、軽度の脳卒中症状のある患者は、特に夜間の暑さに脆弱であることが示されました。

 

この研究では、温暖化が進む気候において、夜間の暑さが脳卒中の重要な引き金となることを示しており、何らかの対策が必要であることを強調しています。

 

【出典】 Cheng He, Susanne Breitner, Siqi Zhang, Veronika Huber, Markus Naumann, Claudia Traidl-Hoffmann, Gertrud Hammel, Annette Peters, Michael Ertl, Alexandra Schneider. Nocturnal heat exposure and stroke risk. European Heart Journal, 2024; DOI: 10.1093/eurheartj/ehae277