脂肪細胞が損傷した神経の修復を助けることがドイツのライプツィヒ大学の研究で明らかになり、2023年11月の「Cell Metabolism」に掲載されました。

 

体の末梢神経が損傷すると、痛みや運動障害が生じることがありますが、損傷した神経がより良く再生する方法として、脂肪組織が治癒過程での修復に必要なシュワン細胞を強力にサポートしていることを発見しました。手腕細胞は末梢神経の軸索を取り囲む髄鞘をつくり、それを維持する細胞で、神経損傷後の軸索再生過程で、シュワン細胞が軸索の誘導や修復等に主要な役割を担っていることが明らかになっています。

 

脂肪組織が治癒過程での修復に必要なシュワン細胞を強力にサポートしていることを発見しました。 具体的には シュワン細胞が体内の神経を取り囲む脂肪組織から神経修復において重要なサポートを受けているということです。脂肪細胞がどのようにしてシュワン細胞に働きかけて神経の修復を行うかについて研究者らは、 脂肪細胞由来のレプチンが、ミトコンドリアを活性化することでシュワン細胞のエネルギーバランスを刺激することを発見しました。 レプチンは主に脂肪組織の細胞によって生成され、栄養の観点から食欲を抑制する効果で知られています。 研究者らは、今回の発見が神経修復に役立てられることに期待を寄せています。

 

 

【出典】Venkat Krishnan Sundaram, Vlad Schütza, Nele H. Schröter, Aline Backhaus, Annika Bilsing, Lisa Joneck, Anna Seelbach, Clara Mutschler, Jose A. Gomez-Sanchez, Erik Schäffner, Eva Ernst Sánchez, Dagmar Akkermann, Christina Paul, Nancy Schwagarus, Silvana Müller, Angela Odle, Gwen Childs, David Ewers, Theresa Kungl, Maren Sitte, Gabriela Salinas, Michael W. Sereda, Klaus-Armin Nave, Markus H. Schwab, Mario Ost, Peter Arthur-Farraj, Ruth M. Stassart, Robert Fledrich. Adipo-glial signaling mediates metabolic adaptation in peripheral nerve regeneration. Cell Metabolism, 2023; DOI: 10.1016/j.cmet.2023.10.017