老化を遅らせるためには、秘薬や高級食材よりも水を飲むことだという米国国立衛生研究所の研究成果が2022年12月の「eBioMedicine」で報告されました。

 

この研究は30年間にわたり11.255人の成人から収集されたデータを分析したもので、水分を十分に摂取している人は、摂取していない人よりも健康で、心臓や肺の病気なおðの慢性疾患の発症が少なく、長生きしていることが明らかになりました。

 

その理由について調べたところ、水分摂取量が減少すると上昇する血清ナトリウムのレベルが関係しており、血清ナトリウムが標準レベルよりも高い人は、 標準レベルの血清ナトリウム値を持つ成人よりも慢性疾患を発症し、高度な生物学的老化の兆候を示す可能性が高いことを発見しました。さらにより高い血清ナトリウムレベルの成人は、より若い年齢で死亡する可能性も高くなるということです。

 

具体的には、 血清ナトリウム濃度が 142 mEq/L を超える成人では、心不全、脳卒中、心房細動、末梢動脈疾患などの慢性疾患、および慢性肺疾患、糖尿病、認知症を発症する関連リスクが最大 64% 増加しました。 逆に、血清ナトリウム濃度が 138 ~ 140 mEq/L の成人は、慢性疾患を発症するリスクが最も低いことが明らかになりました。

 

さらに 血清ナトリウム濃度が 142 mEq/L を超える成人は、137 ~ 142 mEq/L の範囲の人と比較して、実年齢よりも生物学的に老化している確率が 10 ~ 15% 増加し、144 mEq/L を超える人は50% も生物学的年齢のレベルが高いことが明らかになりました。 同様に144.5 ~ 146 mEq/L のレベルの人は、137 ~ 142 mEq/L の範囲と比較して、早死のリスクが 21% 増加しました。

 

研究者は、血清ナトリウム値が 142 mEq/L 以上の人は、水分摂取量を増やす必要性を説明し、全米医学アカデミーが女性は毎日約 6 ~ 9 カップ (1.5 ~ 2.2 リットル) の水分を消費し、男性は 8 ~ 12 カップ (2 ~ 3 リットル) の水分を消費することを示唆していることを紹介しました。

 

研究者はまた世界の半数の人々が、1日6 カップ (1.5 リットル) 以上の水分摂取を達成できていないことを指摘し、十分な水分補給で血清ナトリウム値を上昇させないように心がけることが老化を遅らせて健康を維持する近道であると述べています。

 

【出典】

Natalia I. Dmitrieva, Alessandro Gagarin, Delong Liu, Colin O. Wu, Manfred Boehm. Middle-age high normal serum sodium as a risk factor for accelerated biological aging, chronic diseases, and premature mortality. eBioMedicine, 2023; 104404 DOI: 10.1016/j.ebiom.2022.104404