軽度のカロリー制限と軽い運動を組み合わせたダイエットが、高齢の肥満者の健康的な減量には最も効果的で、動脈硬化の予防にも役立つことが、米国ノースカロライナ州のウェイク・フォレスト大学の研究で明らかになり、2021年8月の「Circulation」に掲載されました。

 

この研究は、運動習慣がなく活動的でないBMI30~45の肥満体質の65~79歳の高齢者(平均年齢が69歳で74%が女性)160人に対して、20週間の次の3種類の改善プログラム、 1)通常の食事のみで運動、 2)運動と適度なカロリー制限(約250カロリー/日の削減)、3)運動とより集中的なカロリー制限(約600カロリー/日の削減) のうち、どれか1つに参加してもらいました。

 

その結果、2)と3)のグループでは、改善プログラム終了後に、体重が約10%以上減少しましたが、カロリー制限を厳しくした分だけ体重が減少しているわけではありませんでした。また1日600キロカロリー制限をしたグループは、1日250キロカロリーの制限をしたグループで見られた動脈硬化の改善が見られませんでした。

 

この結果について研究者は、大幅なカロリー制限や断食よりも、運動と適度なカロリー制限を組み合わせることで、血管の健康へのメリットを最大化することができ、肥満の高齢者の心血管疾患リスクを改善するためには有効であることが明らかになったと述べています。

 

【出典】 Tina E. Brinkley, Iris Leng, Margie J. Bailey, Denise K. Houston, Christina E. Hugenschmidt, Barbara J. Nicklas, W. Gregory Hundley. Effects of Exercise and Weight Loss on Proximal Aortic Stiffness in Older Adults With Obesity. Circulation, 2021; DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.051943