ミュージカル『生きる』を見るために赤坂ACTシアターへ。黒澤明監督の映画『生きる』が本当にミュージカルになるの?!と興味津々、半信半疑で出かけたが、見事に期待を裏切られ、映画の場面を忠実に再現して黒澤映画の世界を尊重しつつ、ブロードウェイミュージカルの味付けも加えられた絶品「新メニュー」に仕上がっていた。雪の中、悲願の公園のブランコで人生を回想しながら渡辺勘治(鹿賀丈史)が歌う「ゴンドラの歌」は、元祖・志村喬バージョンとは全く別の仕上がりだったが、映画と同じ涙を流させてくれたところに、黒澤明の「普遍性」を感じた。もちろん、その普遍性を壊さずに現代のミュージカルという姿に昇華させたスタッフにも脱帽だ。奇しくも世間では「余命宣告」を受けた受けないで医療機関を訴えるというニュースが流れている。『生きる』の主人公・渡辺さんは医者に「胃癌」とも宣告されず、自分の「勘」で余命を察し、一度は自暴自棄になり運命を恨むが「生きる目的」を見出して生まれ変わり、「燃え尽きるまで生きる」ことに邁進した。「いつまで生きられるか?」も大切な問題だが、個人的には「明日死ぬかもしれない…」と覚悟と自戒を薄ら持ちながら、燃え尽きるまで生きようと、改めて思った。終了後に観客の顔が皆やさしそうになっていたのがいい作品の証拠。本日千秋楽なのが、残念無念。再上演希望、海外公演希望、日本が誇れるミュージカルです!
