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小説(笑)を掲載しています。良かったら見ていってください。

平日の今日は、上谷は学校へ通学しなければならない。科学省や、仕事のことはすべて桐谷に任せてのことだ。しばらく事件続きではあったが、久しぶりに安心して過ごせるとのことで部屋ではしゃいでいた。今は電車の中でイヤホンをつけて曲を聴いている。外の風景を見ていると、平凡な暮らしがどれほどいいものかを実感できる。

(平和…、か。これを守るために戦ってるのかな…)

しばらく風景をながめていると、ケースに入れてマナーモードしていた『リーダーズペット』が震える。ケースから取り出して確認すると、桐谷からのメールだった。

『お前が向かっている、「ヨシノ高等学校」で何かあった場合はすぐに科学省に連絡しろ。学校のほうに避難するように出す。分かっているだろうが、現実世界で問題が発生した場合は近くにある機械の電脳を確認するんだ。必ず中で問題がおこっている』

とのこと。上谷はため息をついてリーダーズコンピューターをケースにしまうと再び外の風景をながめはじめた。電車から『ヨシノシティ』の中央区が見える。久しぶりのヨシノシティに上谷は心の中だけで喜んだ。


1-C教室前。前の扉の横のあたりで教員からの呼び出しを待つ。上谷は今日が初登校のため転校生扱いだ。しばらくあたりを眺める。窓からはグランドの風景が見え、今は別のクラスが体育を行っているようだ。しばらくボーっとしていると先生が扉から出てきて

「では、上谷君。どうぞ」

と、優しそうな顔で言った。安心して教室に入り、教卓の前に立つ。

「えー、それではこのクラスに転校してきた『上谷大介』君に自己紹介をしてもらいましょう」

こう言い、笑顔でこちらを向くと再び生徒を見た。名前を聞いて何人か反応したように見えたがそんなことは気にせずに自己紹介をはじめた。

「はじめまして。『上谷大介』です。よろしくお願いします」

一礼すると、

「では、あそこの席についてくださいね」

教員が指した場所は一番端の席だ。バッグを持ってそこに向かう途中。

(!)

少し周りを見ながら歩いていると、横に壮太が見えた。しかし、止まってはいられないので自分の席に向かう。席に座って支度を終えると、それを見た教員が授業を始めた。

(……、何で壮太がここに…)


休み時間。上谷は壮太のもとに行って話をした。

「壮太…、だよな?」

「…、久しぶり…だな。元気にしてたか?」

笑顔でこちらを見ている。何やら嬉しそうだ。

「ブレイバーは元気か?」

「ん? あ、うん。もちろん。ブレイバーもミラーマンに会いたがっているから。放課後インターネットで落ち合おうよ」

「今はフリーズマンだけどな」

「……、また何かあったの?」

「…、まぁいろいろとね」


放課後、屋上で上谷は壮太に今まであったことをすべて話した。壮太は真剣な表情で聞いていた。話が終わった後、上谷は壮太に

「そういえば、曾根田は?」

「え、あー、曾根田もこの学校にいるよ。でも、会うのは難しいかも」

「何でさ?」

上谷が軽く聞くと、壮太はいきなり笑いながら

「実はねぇ、曾根田ここの防衛としているの。だから学校では無理」

上谷はポカンと口をあけて驚いた。壮太は笑いながらどこかへ去って行ってしまった。しばらく、上谷は屋上で風にあたっていた。


科学省の部屋で、上谷は約束の場所に『フリーズマン』を送らせた。フリーズマンが場所に着いたころには、すでにブレイバーは待っていた。

「ごめんよ。遅くなっちゃって」

「…、本当にフリーズマンに戻ったんだな?」

今の姿を見て、少し不思議そうにしている。

「でも、前の時よりは強くなってるはずだから…」

それから少し喋っていると、

「…、! おい、今すぐゲートアウトだ」

フリーズマンが3人に向けて言った。

「え、どうして…」

「いいからッ!」

壮太と上谷は仕方なくAvatarをゲートアウトさせるとケーブルを抜いてテレビ電話の画面を出した。

「壮太。ゲートアウトしたか…?」

『でも、何で…。い…」

言葉が途切れた。突然ノイズがかかるとそのままパソコンの電源は落ちてしまった。そして、テレビでは緊急放送になっている。そして、科学省でも

『緊急警報発令! すみやかに避難してくださいッ! 繰り返します。今すぐ…』

何がどうなっているのかを知りたくて桐谷の部屋に向かい、部屋に入る。

「桐谷? 一体何が…」

「…、今すぐ地下に行くぞ。今すぐだ」

桐谷が席を立って上谷の手首をつかむと、引きずるようにして地下に向かった。

「おい、一体何が…」

「GATEが動き始めた。今すぐどうにかしなければ、世界は終わりだ」


地下につくと、桐谷に連れられてさらに奥の部屋にやってきた。すると、中央に以前すれ違った少年を見る。

「あれ、前に…」

少年はこちらを向いて少し歩くと、

「桐谷。今すぐゲートインだ。ここにあるサーバーからならGATEのサーバーに直通で行ける」

「あの…、君は…?」

上谷が不自然そうに聞くと、少し目を睨まして

「ごめん。名乗ってる暇はないんだよ。一刻を争うんだ。早くしてくれ」

上谷はほんとうに緊急事態ということを自覚すると、サーバーの前に行き、Avatarをゲートインさせた。そして、サーバーの前にモニターが出るとそこにフリーズマンが映る。

しかし、そこには何もない空間が広がっているが、よく前のほうを見てみると、どす黒い何かが広がっている。

「フリーズマン、頼んだぞ」

フリーズマンはゆっくりうなずくと、前を向いて走って行ってしまった。


奥につくとそこにはどす黒い円があり、中央には巨大な獣がいる。フリーズマンは戦う態勢を整えると、

「上谷。バトルコネクタを接続しろ」

と、上谷に命令口調で言った。上谷はポケットからバトルコネクタを取り出すとリーダーズコンピューターに接続する。

「フリーズマン、おそらくこいつを倒せば道は開く。全力で行くぞ!」

「ゲートバトル、」

「オペレーション!」


始まった。フリーズマンはまずバスターをチャージせずに連射するがすべて弾かれてしまった。それを見て、左手をソードに変形させると走って飛んで、真上で突き刺すような形で剣を刺した。

「グオオオォォォォオオオオオオオ」

瞬時に獣が叫ぶと全体から黒いオーラがはなたれてフリーズマンは吹き飛ばされてしまった。ソードは壊れて、地面に背中を強打する。

「がぁッ!?」

起き上ろうとすると、すでに目の前に獣がいて足で踏みつけられる。全身に痛みが広がっていく感じがした。

「うぐ…ッ」

どんどん地面に叩きこまれて最後には足から出てきたビームが直撃した。周りの地面を砕いてフリーズマンが浮き上がる。痛みを我慢して体を起き上らせると両手を『ジェットファング』と呼ばれる武器に変形させて獣の誓うまで浮いている地面を利用して向かい、顔面を斬り裂いた。うまく地面に着地すると、様子をうかがうようにして構える。獣は頭を振ると、口から炎を出してフリーズマンの周りを火で囲ってしまう。フリーズマンは上を見てジャンプするが、獣はそれを見て足からビームを出してフリーズマンの腕のあたりにあてた。

「ッ!?」

バランスを崩して地面に頭から落ちてしまった。少し転がり壁にぶつかると、すぐそこまで獣が迫ってきていた。フリーズマンは目をそちらに向けるが体が動かない。体はバグに浸食されていた。

「グォォォォォォォッ!」

一歩的な虐殺が始まった。


上谷は見ていることしかできなかった。気がつけば、画面にはボロボロになったフリーズマンが映し出されていて、その目の前には獣が雄叫びをあげている。

「シャープマン。フリーズマンを守れ」

いつの間にか隣には桐谷が立っており、ケーブルをサーバーにつなげていた。モニターにシャープマンが現れて、剣を構えた。その瞬時、獣はシャープマンを鋭い目つきで睨み体を動かして雄叫びをあげるとこちらに突っ込んできた。シャープマンは上に飛んで右手にバスターを出すと連射を始めた。何発か当たるが、すべて弾かれてしまう。

「グォォォオオオオオオオ」

獣が手を上げて、上空に上がっていたシャープマンを突き落とすとした。しかし、触れた瞬間にシャープマンは消え、別の所から手裏剣を投げる。何発か当たり、獣がバランスを崩してふらつく。今度は両手をソードに変えるとどんどん足を走りながら斬っていく。獣はどんどんバランスを崩して倒れた。

「今だッ! 止めを刺せ!」

桐谷が指示を出すが、シャープマンは動こうとしない。

「どうした? 早くするんだ!」

「も、…ありません…」

かすれ声で言うと、そのまま倒れてしまった。

「まさか、いつの間に…!?」

シャープマンもバグに浸食されていた。2人のAvatarは体を自由に動かすことができずにそのまま倒れている。

「……、二人とも。悠木博士からこれを預かっていた。渡しておくよ」

これを見ていた少年がポケットから二つのチップデータを取り出して、それぞれに渡す。

「…、なんだこれ? 何も書いてないぞ…」

しばらく眺めていると、上谷のリーダーズコンピューターに通信が入る。

『キンキュウカイセンヲヒラキマス』

音声の後に少しノイズの音がしたが、すぐにノイズは消えて声が聞こえた。

『大介、桐谷君!』

「と、父さん? フ、フリーズマンが…」

「すいません、悠木博士。『未来』、『由来』、ともにバグにやられてしまいました」

全く違う呼び名で下を見ながら言う。しかいs、二人はそれを気にせずに早く先の事を聞こうとした。

「父さん、どうすれば…」

『さっき渡された『チップデータ』…、あれを使えば二人は復活するかもしれないが、その前にお前たちは受け入れなくてはならないことがあるが…、覚悟はあるか?』

「…、フリーズマンとまた話すことができるなら、なんでも受け入れる覚悟はある。だから…」

少し間を空けて、桐谷も

「…、今まで、何か隠していたことは知っています。このまま、終わるなんてできません」

『そうか。では話そう…』

息を吐く音がこちらにも聞こえた。そして、

『では話そう。『フリーズマン』と『シャープマン』の過去を』


「は、はは…」

理解できなかった。有利な立場にいたのがいっきに逆転して不利な状況下に置かれてしまった。右手に持つ剣を投げつける。しかし、

ゾォッ‼ 手で刃の部分を持って防ぐと、グルリと回って鎮に向かって投げつけた。左のほうへ飛んで避けるが、先にあった機械に激突して頭を痛めてしまう。そして、そのぶつかった衝撃で機械はフリーズして、ノイズがいっきにもれだし、すべてが鎮にかかった。

「ふ、ふざけるなァッ‼」

叫んだ。急いで左手についている端末を操作するが、ノイズの影響で操作を全く受けつないどころか、逆にバグを発生させてしまい、煙を出して壊れてしまった。

(こ、これじゃあ…、戻れない…、このまま…死ぬのか…?)

壊れた端末にノイズが入り込み、左手をどんどん蝕んでいき、激痛が走る。左手を抑えながら機械から離れ、体の周りに剣を大量に出すと、右手を振って剣を誘導させた。目標は、『上谷 大介』。結果は直撃。煙で周りが見えなくなった。この間に、機械のそばまで行ってもしもの時のために持ってきていた修正プログラムのは入ったカードを差し込む。しかし、

「!?」

カードが修正プログラムを展開させた途端にさらにノイズが増して行く。さらに、カードを差し込む時に触った右手が離れない。

「く、くそぉ…」

焦りが出始めている。急いで離そうとするがどうやっても離れない。そして、気づけば煙は晴れ上谷が上空にいた。上谷は羽を器用に片方だけ動かして、先のほうだけ尖らせて機械のほうへ大きく振った。しかし、狙った場所は、

「ゥ、アアアァァァァァァァァァッ」

鎮の右手だ。右手の付け根の先の部分から切り取って、翼に乗せた右手を放り投げた。ボトリと音を立てて転がる。鎮は機械から離れようとするが、上谷が翼で機械を破壊して、爆風で壁に背中を強打した。口から血を吐いて倒れる。ノイズに蝕まれた左手も完全に浸食されて手の形をしていない。両手が使えない状況で、鎮が撮った行動は、

「あ、…、……ッ、ア」

何かを言おうとするがうまく喋れていない。すると、左手が光り出してソードのようなものに形を変えると、懐からはみ出している血まみれのロープをを口で掴んでノイズの中に入れる。激痛が走るが、それをこらえて動くか確認すると、鎮が最後の行動に出た。これで倒すことができなければ、鎮の死は確実だ。


別の場所で作業をしている桐谷は、シャープとフュージョンをしてdreamをどんどんDELETEしていっている。

「…、これで最後か。でも、何でこんな場所を」

「…! 桐谷。そこにノートが落ちているぞ」

シャープが言っているのは、自分からそう遠くない場所にある木の横に落ちているボロボロのノートだ。拾ってページをめくっていくと誰かの書いた論文のようなものを見つける。読み上げていくと、

「…、30年後、森の奥深くにでも置いて誰かに見つけてもらおう…? 内容と外れているな」

「……!」

シャープが何かに反応して上を見上げる。桐谷も何だろうと思い上を見上げると上空にどす黒いものが見える。

「…、あの方角って上谷がいるところだよな…?」

「…、ミラーとのシンクロが不安定になっている。もしかして何かあったじゃ…」

こんな不安を抱えつつも、二人は作業を再開した。


どこからか槍を何本も出して、一斉に飛ばした。上谷は翼を何度か振って壊していく。その間に上空に上がり、さらに槍や剣を出すとわざと上谷の周りをを狙って飛ばした。今出した槍や剣には爆薬が積まれており、爆発する。翼で煙をどかし、上を見た瞬間。鎮が大きな銃を構えてチャージが完了していた。避けようとするが、槍がズボンに引っかかっており、うまく動けない。力づくで動こうとする。しかし、相手のほうがはやかった。

ドォッ! 部屋から光がもれだす。そして、小屋は倒壊した。瓦礫から体を出して息を切らしながら横たわる。

「……、!」

しかし、目の前には無傷の上谷がいた。少し顔や服が黒くなっているが、どこにも傷が付いていない。鎮は後ろに下がろうとするが、手がないためにバランスを崩して倒れてしまった。そして、

「…、し…、…」


めが覚めると周りは瓦礫の山になっていた。そして、自分のすぐ近くには人間が食い荒らされたような形をして転がっている。

「……、これは?」

気付けばフュージョンは解除されている。あたりを見渡して状況を確認するが、何も覚えていないために全く整理がつかなかった。そんな時、横にミラーが現れて

「……、この人間。お前がやったんだ」

「え…?」

「覚えていないだろうが、お前は自分自身がダウンロードしたバトルデータのバグが原因で暴走状態になっていた。背中からは…、どす黒いものがはえていて、まるで前の『フリーズマン』のような格好をしていたな」

下を向きながら説明した。上谷は頭が真っ白になった。そして、

「…、俺は…、こんなことをするために…、戦ってるんじゃない…、俺は…、俺はァ…」

わけが分からなくなった。そんな時、桐谷達がここに来た。この後上谷は科学省に戻るのだった。


「それで、今回の任務で人間がRAとフュージョンして戦うというのは、人間にとってもRAにとっても負担がかかるということが判明した。そして、フュージョン中にバトルデータのダウンロードはバグの原因に繋がるということも判明した。よって、明後日からフュージョンに関係するものはすべて廃止し、3年前のPMCのような役割を果たす『リーダーズコンピューター』を人々に無料配布することになった。なお、この事は世界各国の政府との話し合いで決まったことである」

悠木博士の助手がペラペラと喋っている。現在、メインルームで会見が開かれており上谷と桐谷は別の部屋で会見の様子を見ていた。

「しかし、コロコロ変えてるよな…。まだ研究途中のものを活用しようなんてことに無理があったのかな? と、上谷はどう思う?」

少し軽い口調で話し、話を上谷に振る。しかし、上谷は真剣な表情をしたまま答えようとしない。

「……、まぁいいか。でもさ、一般人がこれ聞いたら『はぁ?』って感じだよな。たった30分の会見で今まで知らされてなかったことがいっきに話されるんだからさ…」

話を区切り、上谷を見るがやはり口を動かそうとせず、ただ真剣な表情で画面をみている。

「…、今日の事か? 確かに、お前は人を殺した。でも、全部自分のせいって思ってるんだったら、それは違うぞ」

「…」

「相手だってお前を本気で殺しに来てたんだ。こっちだってやらないと殺されるだろ? お前は自分の身を守ろうとしただけだ。それにお前は戦ってる最中、バトルデータのバグによって意識を失っていた。…、そうだろ?」

やっと桐谷を見て口を動かそうとする。

「……、でも、殺したことにかわりはない。俺は人殺しだ。最低の人間だ。結局、俺は誰かを守ろうとすればするほど、誰かを危険にさらしてしまう。だったら、誰にも関わらずに生きていけば誰にも危害を加えることなく過ごせる」

「……、確かに、俺はお前のせいで何回か危険な目になっているかもしれない。でも、一回たりとも迷惑とも余計な御世話とか思ったことはない。だって、お前は俺を守ろうとしてくれたんだから…。きっと、他の奴もこう思っているはずだ。お前はすぐ物事を自分で判断してしまう癖がある。たまには人の意見を聞いて決めることも大事だと思うよ」

こう言うと、桐谷は席を立って部屋から出て行った。たった一人だけの空間で、上谷はただ真剣な表情で考えていた。これから自分はどうするべきか、何をすべきかを。


そして、フュージョンに関係するものがすべて廃止になった。そして、科学省には全国から人々が集まり『リーダーズコンピューター』を受け取り満足して帰って行った。そして、全員に配布が終わり、今度は上谷が受け取る時が来た。

「大介。これが『リーダーズコンピューター』だ。PMCが進化したものと思ってほしい。そして、RAはAvatarに戻ったからミラーをテキストデータにしてから移すんだぞ。それと、特別にこれをプレゼントしよう」

科学省の玄関で上谷は自分の父である悠木博士から小型のアダプタを貰った。

「…、これは?」

「バトルデータの入った小型のアダプタだ。『リーダーズコンピューター』はカスタムチップではなく、バトルデータにもともと保存されているデータを使用してdreamをDELETEする。後、Avatarをインターネットや電脳世界に送る時はここについているケーブルをケーブル端子につなぐんだぞ」

説明を受けて、すべて受け取ると、悠木博士は地下へ行ってしまった。上谷は自分の部屋に戻り、作業をすることにした。


「……、Avatarテキストデータ化完了。リーダーズコンピューターにインストール…、完了。データ展開、実行」

ぶつぶつと独り言を言ってるように見えるが、これは声に出して確認しているだけだ。クロスCCとリーダーズコンピューターをデスクトップに接続して、作業はすべてデスクトップで行っている。中には自分でキーボードをうって操作しねければならない場所もあるが、上谷はそれを軽々とやり遂げてしまう。

「……、『リーダーズコンピューター』起動。……、インストールデータ、・・・・・え、『FREEZE.exe(フリーズ.エグゼ』…?」

戸惑った。『FREEZE.exe』とは、現在のミラーになる前のプログラム名でクロスCCになる前までは『MIRROR.exe(ミラー.エグゼ)』だったのだ。それが、劣化しているとしか言いようがない。

「そ、そんな…、仕方ない…。このまま作業を済ましてしまおう」

ため息をついてキーボードを数分うって、作業を終わらせた。しかし、リーダーズコンピューターはインストール後の処理に多少時間がかかってしまうため、上谷は桐谷の部屋に行き、今の状況をはなした。

「……、俺は別に大丈夫だったぞ。ちゃんとに『SHARP.exe(シャープ.エグゼ)』と明記されたからな。で、今は処理の最中だ」
「そうか、ありがと」

そう言い残して、部屋を出ようとしたが

「あ、ちょっと待って」

と、呼びとめられた。振り向くと、桐谷が椅子から立ってこちらに歩いて来て

「あくまでも噂だが、一部の『bat(バッチ)』はリーダーズコンピューターに対応してない可能性があるらしい。もしかしたら、それかもな」

そういうと上谷の背中を押してまた作業を再開した。部屋を出て自分の部屋に戻る途中。廊下で、見たこともない少年を見た。同い年ぐらいだ。上谷はあまり気にせず歩いていると、すれ違った瞬間に

「『GATE』はすぐそこまで手を伸ばしている。ここにも…」

ポツリとつぶやいて歩いて行ってしまった。振りかえって確認するが先には誰もいなかった。何だったのだろうと思いながら自分の部屋に戻った。


部屋に戻ると処理が終了していた。リーダーズペットの設定を済ませて急いで確認すると、やはり以前の『フリーズマン』の姿をしていた。

「……、ふ、フリーズマン…」

「上谷。でも、以前の時よりも性能はアップしている。別に不便はないだろうよ」

軽く言うと画面から消えてどこかへ行ってしまった。上谷はため息をついてベットに転がった。

(でも、何で急にクロスCCを廃止に…。もしかして、これもGATEの計画の一部にしか過ぎなかったのか…? いや、そんなことあってたまるか。これは科学省と各国の政府で会議を開いて決定したことなんだ。きっと、何か…)

部屋の電気を消すと布団のかぶって眠ってしまった。午後9時の出来事だ。

とある電脳の中。一人のAvatarが内部に設置してある機械のようなものを操作して、何かの情報を見ている。すると、突然手が止まった。そのAvatarが見ている情報は、『GATE』についてのものだ。しばらく読み進めていくととんでもない事実を知ることになった。

「! こ、これは…ッ! 科学省と『GATE』が…?」

Avatarは一部データを自分のメモリに記録してゲートアウトした。その後、その電脳にもう一人のAvatarが現れた。

「……、」

巨大な両手と、ごつい体つきが特徴のこのAvatarは、周りを見渡すとすぐにどこかへ行ってしまった。GATEは、すぐそこまで迫ってきていた。



あの後、急いで科学省に戻った二人は、キャンプ場でおこった出来事を上谷の父であり、科学省の職員である『『上谷 悠木(かみや ゆうき)』に話した。そして、帰ってきた返事は

「…やっとできたか。あれは『FUSION SYSTEM(フュージョン システム)』と言って、戦闘能力のないRAが人間の力とシンクロすることで人間の力を極限まで高めて、人間自身に力を…、というものだ。でもな、できる人間はこの世で数えられるほどしかいないとされている。さらには、極秘で研究が進められてきたものでもある。慎重に使ってくれ」

とのことだった。ちなみに『Fパック』はそのために必要な道具で、特殊なプログラミングが施されているそうだ。話の後、各自部屋に戻った。

「ミラー? お前は『GATE』についてどう思っている?」

話を振られた本人は、椅子に座ってくつろいでいる上谷の真横にでてきて、

「そりゃあ、今すぐどうにかしなきゃいけない組織だと思っている。表では正義をかたっているけど、裏ではとんでもないことを…」

「その、とんでもないことって何だかお前は知ってるのか?」

質問攻めだ。少し息が詰まる。しばらく考えていることがわかるような声を出して、

「…、俺が思うにはただこの世界を支配しようとしてるんじゃない、ってことしか分からないな…」

上谷がミラーをチラリと見る。そして、少し微笑むと、

「そうか。ありがと」

と、パソコンの画面を見て作業を始めてしまった。ミラーはため息をつくとクロスCCに戻ってしまった。上谷は作業をしながら、

(何か隠している…。絶対に…)

と、ミラーを疑っていた。部屋ではキーボードをうつ音だけが聞こえた。


夜が明けて。時刻は午前10時。上谷たちは科学省のメインルームに集められていた。どうやら、悠木博士から重大な発表があるとのこと。部屋に入ってきて、真剣な表情で

「今朝、入った情報だ。『GATE』が動き始めた」

「!」

まわりがざわめいた。上谷は下を向いて何かを考えている。

「どうした?」

横に座っていた桐谷に声をかけられた。

「えっ、いや、なんでも…」

桐谷はため息をついて前を向いた。そして、

「それで、今日、山奥で強力なノイズを感知した。今日はそこの調査にあたる」

と、周りの聞こえるよう、大きな声で言う。そして、周りは返事をすると各自の部署に戻った。

「大介、こっちにこい」

終わったのと同時に父親から呼び出すを貰う。上谷は席を立つと、父のもとへ歩いて行った。

「? 何?」

「じつはな、今日のノイズ発生位置にはお前だけで行ってほしい。多分、Fパックを持たないものが近寄ると体に何らかの影響が出る…」

「なら、別に桐谷でも…」

「桐谷君は、別のところを特別に頼んでいる。よろしくな」

肩に手を置くと、メインルームから立ち去ろうとした。上谷も急いで自分の部屋に戻り、準備をしようとした。しかし、

「あ、大介。もうひとつ話がある」

と、呼びとめられた。何かと思い父親のもとへ歩いていくと耳打ちで、

「今回、相手は『人』だ」

一言言うと、何事もなかったように去って行った。

「相手は…、人…」

上谷は不安を抱えつつも現地へ向かった。


クロスCCに転送されてきた座標をもとに、やっとノイズ発生位置にたどりついた。そこには、研究施設がひとつあった。しかし、大きな窓から見えるのは何もない空間だけ。不自然に思いながらも研究施設に近づくと、

ザザッ。ノイズの音がした。すると、ミラーが出てきて

「上谷。今すぐフュージョンするぞ。あの中に…、誰かいる」

上谷は言われるがままにクロスCCにFパックをつけてミラーとフュージョンした。

『バトルデータダウンロード…、インストール…、完了」

音声が光の中から聞こえて、光が徐々に消えた。上谷は左手に変わった形をした剣を持って中に突入した。

中に入ると、奥に機械一台設置してある空間だけしかなかった。機械の周りだけにノイズが発生している。おそらく、あの機械が原因だろうと、上谷は推測して早速調べることにした。しかし、

ガガガッ! 3本の尖った何かが上谷の頭上に落ちてきた。上谷はなんとか後ろに下がって避けた。そして、突然目の前に誰かが現れた。それは…

「! せ、先生…?」

中学2年生の時の担任教師だった、『鎮 京子(まもる きょうこ)』だった。眉をひそめて見つめる。しかし、以前のような姿はしておらず、両手にソードを持っている。

「ま、まさか…、ウソだろ…?」

思わず身を引いてしまう。それに対して彼女は笑って、

「…、死ね」

ガンッ‼ わずか1秒の出来事だった。いつの間にか上谷の後ろに回り二つの剣を振りまわして上谷の足と手にみねうちをした。みねうちとはいえ、勢いがついているために体に激痛が走る。

「ウ、ァァァアアアア!?」

あまりの痛みに床に倒れてもがいてしまう。そのすきを見て、今度は左手をバズーカに変形させて発射させてきた。右に転がり、なんとか避ける。彼女をチラ見するが、無表情だ。

「こ、こんなことをして無表情って…、一体どういう…、」

言葉が途切れた。先程まで空中にいたのに、気づけば消えていた。立ちあがって、周囲を見渡す。

「上谷ッ! 上から来るぞ、気をつけろ!」

「こういう時にそれはやめろ」

ミラーに言った通り、上から来た。左に体を動かして、今度はこちらが手に持っている剣を構えて突撃した。

ガッ! 部屋の中央で激しい激突が起きた。剣が火花を出して、ものすごい音を鳴らしている。

「先生、一体何があったんだよッ!?」

一瞬の隙を見せれば殺されてしまうこの状況で質問した。それに対して鎮は、

「ただ、命令に従って動いているだけだ。そして、任務に感情などない。あるのは人の憎しみ、悲しみ、そして怒りのみだ」
と、冷静に返答した後、剣で押し切った。壁に背中を強打して倒れる。

「…、オペレートなら……」

3年前まではオペレートする側だったのが、今は戦う側にいる。そして、思うように手や足が動かないのだ。そして、相手が様子を見ている最中、ばれないようにクロスCCを操作した。

(…、頼むッ)

立ちあがって剣を構える。

(…、どうすれば…!)


その後も何度か激突するが、何度やっても押されてしまう。もう限界を迎えていた。息を切らして重たい体を無理に動かし続けた。

「ォォォオオオオオオオッ!」

声を上げて、何も考えずに斬りに行った。当然、本気を出していない相手は全く息を切らしていない。さらに、すでに手を振っただけで上谷を飛ばしてしまっている。上谷は飛んで剣を右手に持ち替えて左手を銃に変形させて乱射した。軽々かわして、今度は相手が上空に上がってきて頭に踵を落として上谷を床に落とした。煙が晴れて、見えたのは気絶した上谷の姿だった。

「……、殺す」

剣を何個も出して上谷を跡形も残さず消そうと、一歩ずつゆっくり歩き始めた。ミラーはクロスCCの内部から、相手と上谷の距離が0になった時が上谷の寿命のつきだと思った。考えただけでも背中がゾッとしてしまう。しかし、

「!」

鎮の足が止まった。理由は、気絶したはずの上谷が目の前に立っているからだ。上谷は顔をニヤけさせて左手で顔をつかんで壁に軽々と投げた。

ドンッ! と、ものすごい音が部屋に響いた。

「ゴ、パァ…?」

今何が起こっているのか、全く理解できなかった。もちろん、ミラーも。不自然に思ってデータを確認する。すると、ひとつ見たこともないバトルデータがインストールさせていた。確認すると、このバトルデータにバグが発生してプログラミングのミスが発生していた。すぐに修正しようとするが、操作を全く受け付けない。

「…、何でッ!?」

上谷は止まらなかった。足を動かさずに鎮のほうを向くと左手を銃に変形させて、さらに右手も無理やり変形させた。それのせいで、右手から血がどんどん出てきて、血が床に垂れている。そして、乱射をした。かわそうと体を動かそうとするが、体が埋まっていてうまく動かせずに喰らってしまった。床の壁に大量の血が飛び散り、口からも血を吐いてしまう。そして、最後に一発を撃とうとした時、突然倒れてしまった。原因は、ミラーが内部でバグに耐えきれずに気絶してしまったことだ。フュージョンRAと人がシンクロすることでできることであるため、片方が不安定になればフュージョン事態も不安定になってしまう。鎮はフラリと立ちあがって倒れている上谷を見つめる。そして、近づいて足で蹴り飛ばした。壁にぶつかりズルズルと体を床に落とす。

「ふ、ハハハ。よくも、やってくれたな…」

頭をつかんで床にどんどん叩きつける。

「ハハハッ! 意識がなければ何もできねぇなッ! えぇ?」

まるで別人のように口調が変わって笑う。しかし、

「あ?」

ピクリと上谷の手が動いた。すぐさま手を離そうとするが、手が離れない。掴まれているからだ。そして、手を動かして投げ捨てる。そして、立ち上がるのと同時にどす黒い球体に包まれて姿を消す。

「んだよォッ!?」

先程大量に出した剣を球体に投げつけるがすべて吸収されてしまった。そして、どす黒い球体が消えたかと思えば、今度は全身を武装して、背中からどす黒い羽根を出している上谷が現れた。

「ォ」

鎮は絶望した。


「……、世界は変わった。こちらも、追いつかなければ…、目的の達成は難しい」

午前2時。暗闇の部屋の中でイヤホンを片耳につけている。一人で喋っているように見えるが、これはパソコンから聞こえる音声をイヤホンで聞きとっているだけだ。かすかに音漏れしている。

「……、で…ら……、……ふた…………、」

「では、そちらは任せたぞ。…」

イヤホンを耳から外して、パソコンの側に置くと、机の上に置いてあるコップを手に取り、注いであったコーヒーを口に含む。

「……、あともう少しだ。ついに、『Ⅹ(エックス)』が…」

部屋に笑い声が響き渡った。


世界はさらに発展を遂げた。『クロスCC』が世界に出されてから2年がたった。人々は以前よりさらに快適な生活を送り、今では誰もが必ずネットワークサポートプログラム『RA(Real Avatar)』を所持している。RAとは、『Avatar(アバター)』が進化したもので、『メンタルプログラム』を組み込めば人と同じように会話ができる。さらに、実際に現実世界に出すことができるようになっている。しかし、以前とは違って、ウィルス駆除はできない。ネットワークではオペレーターの操作することをサポートするだけになっていた。そのかわり、各街に設置して『ラインステーション』という物にRAを送り込むことで、『ネットワークライン』での行動が可能になった。そして、以前とは変わりなく直接機械の電脳世界に送りこむことができた。しかし、それと同時に

『dream』と、『ノイズ』が現実世界に発生することが多くなり、『ノイズ』は機械の電脳でも確認されていた。さらに進化を遂げた世界、確かに便利になったが問題も多くあった。

そして、科学省の地下室では3年間の準備期間を今日終えて、これからの事について説明をうけている二人の学生がいた。

「では、これから説明を始める」

一人の研究者が言った。手に持っている資料を見ながら説明を始めた。

「お前たちは、今まで通り学校に行ってもよい。だが危険とみなした場合、すぐにこちらが退学手続きを取る。退学後は、完全にこの科学省の職員として働いてもらう。と、もしもの話になったが…、こうならないように気を付けたまえ」

はーい、一人やる気のない返事を出す学生。『上谷 大介(かみやだいすけ)』だ。3年前の事件以来、科学省の特別隊員として働いている。一方、隣にいる上谷 大介と同じ年齢の学生。『桐谷 宗助(きりやそうすけ)』。上谷と同じく、科学省の特別隊員である。

「上谷。少しはやる気を出したらどうだ? 今日は初日だぞ」

上谷の横にRAが出てきた。RAから導入されたリアル機能だ。Avatarを現実世界に直接出すことができる。そして、このRAの名前は『ミラー』。そして、桐谷の横にもRAが出てきた。『シャープ』だ。2体とも、旧世代では『シンクロ理論』の実験を目的をして開発された。しかし、まだ隠していることがいくつかあるらしい。

「…、説得力がないな。お前にやる気の話は似合ってないぞ」

「なっ…」

シャープが突っかかってきた。ミラーはシャープの近くにより何かゴチャゴチャ言い始めた。すぐ前にいる桐谷がうるさそうにしている。

「……、相変わらずだな…」

冷静だ。3年間で少し雰囲気が変わった桐谷。最近は、任務以外では感情をあまり表に出さない。

「……、茶番はそこまでにしろ。まだ終わってないんだぞ?」

「ちゃ、茶番…」

口を止めて、上谷の横に戻ってきた。シャープは鼻で笑ってミラーを見ている。

「…。それで、お前たちは基本的にGATEがかかわっていると思われる事件を担当してもらう。それ以外は他の者がやるから別に気にしなくていい。しかし、GATEはまだ表上『ネットポリス』と見られているからあんまり派手にやるなよ。…、以上だ。それと、今日は一つ仕事が入った。内容は現地にいる隊員から聞くように。場所は、『ヨシノシティ北部』だ。それでは」

説明を終えると、歩いて部屋から出て行った。説明中、ミラーとシャープはクロスCCに戻っており、今は二人だけの空間となっている。

「…、上谷。お前、『Fパック』について何か分かったか?」

「いや、全然解析は進んでない。でも、Fパックを持っているとノイズの影響は受けない、ってことだけはわかった」

「…、そうか。じゃあ、行くか」

二人は部屋を出ると、科学省の上の階へエレベーターを使って移動した。


ヨシノシティ北部。北部は基本的に山が多く、キャンプ場がたくさんある。今回はキャンプ場の一つ、『ライン』という場所での捜査とのことだ。早速、現地にいた方の説明が始まった。

「えーと、じゃあお前らにはここらへん一帯のノイズを調べてもらおうかな。『クロスCC』を使ってノイズ率を測ってほしい。それと、RAに戦闘能力はないからノイズから『dream』が発生したらすぐに俺達を呼ぶんだ。よし。それじゃあ早速仕事に取り掛かってくれ」

説明が終わって、上谷は西側を、桐谷は東側での計測をすることになった。早速、西側に向かう。

「でも、何で最近ノイズが現実世界でも発生するんだろうな…?」

上谷の横に出てきて、腕を組んで考え始めた。

「…、まあ細かいことはいいじゃないか。…、ほら、早速ノイズがあったぞ。でも小さいな」

ミラーが指をさした場所は草むらの中だ。よく見ると、小さなノイズが発生している。クロスCCを取り出して、ノイズの計測を始めた。

「ねえ、何%よりしたならいいんだ?」

「ん? 確か10%じゃなかったか? ま、10%以上だとdreamが発生する恐れがあり、だから気をつけるんだな」

へーい、とまたやる気のない声で返事をした。話している間に計測が終わった、確認してみると、

「…、12%…。ま、まさかdreamが発生するわけ…」

あった。突然ノイズがゆがみ始めてノイズがdreamへと姿を変えた。上谷は後ろに下がって警戒する。

「ミ、ミラーマン…、な、なんとかしてよ…」

「悪い。俺用事思い出したわ」

一言言い残すと、クロスCCの中へ逃げてしまった。『RA』には戦闘能力はないため、一般にとってはかなり厄介になってしまう。

「あー、何で逃げるんだよ…、と、とりあえず連絡を…」

ポケットから通信機を取り出して、さっきの方に連絡を取ろうとする。しかし、

ガッ。手を槍に変えて通信機を壊してしまった。右手から少し血が流れる。

「いっ…」

右手を抑えて桐谷のところへ走った。こうすることしかできなかった。

(…、昔だったらこんな奴…!)


一方、桐谷は…、

「シャープ。ノイズを発見した。すぐに計測してくれ」

こちらもノイズを見つけて計測の最中だ。シャープはノイズに手を伸ばして自ら計測を行っている。

「ところで、お前はノイズの影響はうけないのか?」

「RAには『ノイズブロック』という、ノイズを防ぐためのプログラムを展開しているので問題ありません。それに、桐谷だって『Fパック』がなければノイズの影響を受けて気を失ってしまいますよ? …、計算終了しました。計測結果、ノイズ率18%です。dreamが出現する可能性があるので警戒してください」

言われるままにノイズから身を離して警戒をする。1分間、ノイズに目を向けていると…、

「き、桐谷ーッ!」

目を向けると、西の方角から上谷が全速力で走ってくるのが見えた。そして、桐谷の前で止まって

「ノ、ノイズから…、dreamが…!」

「なんだって?」

上谷とはしていると、桐谷が見つけてノイズが奇妙な音をたてはじめた。そしてノイズから複数のdreamが現れて、2人を囲んでしまった。さらに上谷を追いかけてきたdreamも追い付いて不利な状況になってしまった。桐谷は舌打ちをして、

「上谷、どうしてこちらに向かってきたんだ? お前にだって推測ぐらいできるだろうに…」

「んなこと言われたって、まさかそっちのノイズのノイズ率も10%超えてるなんて思わないだろッ!?」

話をしている最中、ミラーが出てきて周りの状況を確認すると、

「二人とも、お前らが貰ったFパックって、ピンチの時に使えって言われてたよな? 今がその時なんじゃないか?」

二人はFパックを取り出して、

「…、でもどうやって…」

「桐谷様。解析結果、これはクロスCCに接続後、左手首に取りつけるようです。…、どうします?」

「ノイズで凶暴化したdreamだし、なおさらやるしかないだろう…、やらないと俺達はここでオジャンだ」

話しながらクロスCCにFパックを取りつけて左手首に装備した。すると、画面に『BATTLE DATA DL』という文字が出てきた。すると、

「うお、何だよッ!? 強制的に戻されるぞ!」

「わ、私も…ッ」

2人のRAが強制的にクロスCC内部に戻されると、クロスCCの画面には英数字がたくさん並んで出てきて、

「「!?」」

体が光に包まれていってしまった。そして、中ではクロスCCの周りにネットワークで構築された防具のデータや武器データが実体化して防具データは上谷と桐谷の左腕を、武器データは、上谷は手に持つという形で、桐谷は左手首にソードが接続されて、光が消えていった。

「な、何これ…」

自分たちの体を見ると、左腕の身にネットワークで構築された防具が装備しており、他は特に変わったところはない。そして、左手には両側からソードが出ているものがある。桐谷も同じような感じで、武器は手がソードに変形していた。

「現実で戦うための力…。今度は自分たちで戦うのか…?」

茫然としていると、ひるんだdreamが突然二人に向かってきた。両腕を刃物にしている。すると、桐谷は右手からシールド出して防いだ後に、左手のソードで斬りつけて、上谷は攻撃される前に武器で相手を丁度半分に切りつけた。バチバチと音を立てて2体のdreamがDELETE(デリート)された。

「…、初めてやった感じがしない…、何でだ?」

「上谷、考えている暇はないぞ。すぐ終わらせるぞ」

二人の一方的な攻撃が始まった。


dreamをすべてDELETEして、元の姿に戻るとすぐにFパックを取り外してクロスCCの画面を確認した。

「ミラー? 大丈夫か?」

「お、おう。一体何だったんだかな。そんで、姿を戻した時にクロスCCにアイテムデータが入ってきたぞ」

上谷はデータ一覧表を映し出して確認する。そして、最後に『BATTLE NETWORK (バトルネットワーク)』と表記されたデータがあった。

「…? 桐谷はどうだ?」

振り向くと、桐谷も同じくクロスCCの確認をしていた。

「こっちもだ…。…! ノイズが消えているぞ」

ノイズがあった場所を向くと、そこに発生していたはずのノイズが跡形もなく、完全に消滅していた。

「今、悩んでも仕方ないか…。とりあえず報告に行こうよ。それで、科学省に戻ったら今のことを説明、これでいいんじゃないか?」

「…、そうだな。それじゃあ、報告しに行こう」

二人は報告しに、キャンプ場に立てたキャンプへと向かった。


「…、GATEが動き始めたな」

科学省本部。全員が真剣な表情でモニターに注目している。中には茫然としている人もいる。上谷の父が、モニターを見て、

「…、急いで対策しなけらば、『Ⅹ(エックス)』が…、完成してしまう…ッ!」

上谷の父は書類を持って自分の研究室へ向かって行った。

「ふん、プラズマンがやられたか…、まぁいい。コピーデータも十分に取れた」

暗闇の中、一人大きな機械の前で作業をしている。画面にはさまざまはデータが表示されている。

「ふっ、ハハハッ‼ ついにできたぞッ! これで、この社会を一時的に…」

そしてさらに作業を進める。

「ハハハッ! ミライ、ユライ。これで我々の願いがついに…! 『ネットワーククラッシュ』、実行‼」

暗闇の中、笑い声だけが響き渡った。そして、このあと徐々に世界に異変をおこしていった。そして、人々に気づかれぬまま、一夜が明け…。


「か、…み…」

「…、さっきからノイズがすごいな…」

目をこすり、起き上る。そして、すぐにPMCの画面を確認する。すると、

「! ミラーマンが、ノイズに…」

体のあちこちからノイズが発生して、もう喋れないし、起き上れない状況だった。上谷は急いで着替えて、パソコンの電源をつけてインターネット経由でミラーマン専用の修復データを取ろうとする。しかし、インターネットにつながったとたんにバチバチと音を立てる。そして、何故かホーム画面に強制的に戻されると、たくさんのdreamが流れ込んできた。パソコンはそのまま処理ができずに煙を出す。

「い、一体どうなってんだよ…」

上谷は周りの状況が気になり、リビングに降り、テレビをチェックする。そして、そこに映し出されていたのは…。

『現在、GATEの管理するサーバーの暴走による原因で世界各地でインターネットができない状況に…』

ザザッ…。テレビが突然消えた。上谷はPMCを握って外に飛び出す。

「ど、どうなってるんだ…」

ヨシノシティのあちこちでノイズが発生している。そして、現実世界にdreamが出現していた。周りを見渡すが、どこもノイズとdreamだらけだ。

「と、とりあえずそう…」

キーッ。言葉が途切れた。突然車が自分の家の目の前で急ブレーキをかけて止まったからだ。そして、その車の窓があく。

「と、とうさんッ…!?」

窓から顔を出したのは上谷の父だった。すると、

「すぐに車に乗れ。いますぐだ」

あせりながら言っている。上谷は、緊急事態なんだなと思いすぐさま車に乗った。

「急いでください。あと少しでここはノイズに耐えられなくなり、各地に設置してある電子機器が爆発します」

ドライバーに説明した。ドライバーは急に真剣な表情になると、アクセルを思いっきり踏んだ。車はものすごい音を立てて走り始めた。

「と、父さん。世界で何が起こってるの…?」

「…それは科学省についてから説明する。…、上谷伏せるんだッ」

ヨシノシティにある電子機器が爆発し始めた。爆風でいろんなものが飛んでくる。ドライバーはそれを気にしないで運転している。そして、各地で火事が起こっている。目の前で、自分の住んでいた町が火の海になっていった。


父に連れられ、科学省の地下室にやってきた。あたりを見渡すと大型モニターや最新型のコンピュータが数個設置してある。しばらく周りを眺めていると上谷が通った自動ドアの開く音が聞こえた。振り向くと、

「き、桐谷…?」

フード付きの服を着て、落ち付いた雰囲気を出している。

「…、上谷か。こちらのPMCに情報が送られてこないということは…、お前のとこのもか」

「え? じゃあシャープマンも…」

「そうだ。でもこの現象は俺達だけに起きているわけではなく、世界各地で起きているらしくてな」

話していると大型モニターの横にいる科学者が、

「博士、揃いました。では説明のほうを…」

白衣を着て、前で腕を組みながらモニターの前に歩くと、前を向いて話を始めた。

「それでは、話を始める。今、世界は危機を迎えている…、というのは外を見て察してくれたかな? それで、外のあちこちでノイズが発生している。ほとんどの住民は、…残念なことにそのノイズに飲み込まれてしまっている」
「!」

父の話を聞いて感じた。壮太や、曾根田はどうなったのか…、と。しかし、今は無事を祈ることしかできなかった。

「それで、ここからは世界のトップシークレットに関する話だ。あんまり外で話すなよ。…、実は、現在のネットワーク技術が世界広まった時から、次の時代へ向けての研究がすでに始まっていた。それで、その研究が思った以上に早く進んでおり、後少しのところまできている。その研究が、今使えそうなんだ」

「研究…? GATEにはそんな情報はなかったな…」

桐谷がつぶやいた。父はそれを聞いて

「当たり前だ。科学省からGATEへの情報共有はしていない。だが、桐谷君は知っているのだろう? この理由を?」

桐谷が知っていることを前提に話が進んでいる。桐谷は、

「…、GATEの幹部としてとても恥ずかしいことだが…、今回の事はGATEがおこしたことだ」

「げ、GATEが…?」

桐谷が拳を握っている。くやしいのか、何かを抑えているようにも思える。

「ここからは俺が…。桐谷君が言ったように…、この事件はGATEが行ったことだ。世界各国の政府にはすでに連絡を回したが…、GATEの廃止、トップの逮捕は難しいだろうな…。と、話を元に戻す。先程言った研究の内容は…、ネットワーク技術を現実世界でも生かそうとということだ。もっと通信を早く、と便利さと安全さを追求した結果、Avatarを現実世界へ出す、一般には見えない世界をつなぐ、『ネットワークライン』…他にもある。それで、今回使うのが今言った二つだ。しかし、Avatarを現実世界へ出すには…」

途中で区切り、モニターの下にある引き出しを取り出して、2個の機会を手に取り上谷と壮太に見せた。

「これは…?」

「クロスCC。PMCの後継機だ。これは次世代ネットワークでの生活では欠かせなくなってくる必須アイテムだ。それと、もうひとつは…『Fパック』。これは君たちのためだけに作った。これはピンチの時に使え。役に立ってくれるはずだ…」

では失礼する、と父は付け足してトビラから部屋を出て行ってしまった。その後、横にいたもう一人の科学者が説明を始めた。

「えー、それでですね…。言ってしまうとこれから3年間…、『準備期間』としてこの施設内で生活をしてもらいます…」

「さ、3年…。なんでそんなに…」

「…、次世代ネットワークを広めるのに、GATEの様子も見ながら進めると最低でも2年は必要でして…。残り1年は『real Avatar(リアルアバター)』、通称『RA』へのアップロード期間になりまして…」

上谷は絶句した。3年間、世界はGATEに支配されることになると思ったからだ。そして、壮太や曾根田もその間ノイズにのまれたままになってしまう。

「そ、それじゃあ、ノイズにのまれた人はどうなるんですか…?」

「? それについては問題ないよ。じつは、説明している間にすべてをノイズを管理していると思われる『ノイズサーバー』が何故かこの施設内で見つかってね…。そこからノイズを操作できるみたいだからのみこまれた人達は現実世界に戻せるよ。そして、ノイズも消す」

「それでノイズを制御できるなら、別に次世代ネットワークを広めなくてもよろしいのでは…?」

桐谷が冷静に聞く。こんなときでも冷静でいられる、さすがはプロだ、と心の中で呟く。

「…、ノイズは大丈夫だ。でもね、GATEは今すぐにでも潰さなくては世界が危ない、そうだろう? そのために次世代ネットワークを広めて、力をもった君たちに協力してもらっているんだ」

そう言うと、研究者も扉から部屋から出ていってしまった。上谷と、桐谷、二人だけの空間となった。話したいことも山ほどある。

「桐谷…。3年間。こいつらは…」

「……、Avatarに浸食したノイズは削除できない…、か。でも、3年待てばこいつらはRAとして復活するんだ。それまで、俺達もできることをすればいいだろう?」

「……」


そして、2年があっという間に過ぎていった。次世代ネットワークは無時世界に広まり、人々が『クロスCC』を持つ時代となった。世界をつなぐ『ネットワークライン』もひかれ、通信がはやくなり、安全性も高くなった。

GATEも、この期間中に目立った事はしなかった。しかし、世間にはまだ事件の真相は知らされていなかった。

そして、Avatarを『RA』へのアップロードが始まった。

これで、3年間が終わった。上谷と桐谷も、アップロードを済ませて別室で、再開した。
「…、ミラー、マン…?」

姿が以前より変わっており、言わなければ分からないほどになっていた。もちろん、シャープマンもそうだったらしい。しかし、そんなことはどうでもよかった。ただ、もう一度話せた、それだけで十分だった。

「今は、『ミラー』だ。…、待たせたな」

そして、GATEとの戦いが始まった。


あとがき

遅れて申し訳ありません。理由は、風邪をひいてしまった、です。ほんとうに申し訳ありませんでした。