アラスカでの火山噴火調査に出かけたため
田所博士不在の中、中田は人工衛星に監視カメラを
取り付けてロケットで打ち上げる事を発案
小野寺はロケット発射場のある天草に向かった
しかし天草でも異変が発生し、巨大地震のため
天草は海中に没してしまった
だがロケットの打ち上げは成功し、日本列島の
上空撮影に成功
そこには、沈みゆく日本列島の姿が写っていた
その頃D計画本部では、D2計画の会議が行われていた
それは日本人1億1千万(当時)の各国への移住に
関しての議論がテーマだ
そこに小野寺が田所博士に会いにやって来た
「ああ、田所博士は中にいるが、かなり機嫌が悪いぞ」
中に入るとひとり田所博士が世界地図を見つめていた
「なんスかこれ?」
「D2計画の全貌さ・・・・
アラスカに200万、カナダに600万、アメリカ300万
オーストラリアに1800万・・・・」
「しかしこれは松川首相以下政府の閣僚が交渉の目標
にしている数字で、確定したものではない」
「しかも世界の中には、戦時中の日本の戦争に拘り
受け入れに難色を示す国もある・・・・
こうしてるうちにも日本は沈没していくと
言うのにだ」
「見たまえこの雨を・・・・
関東地方はこの5日間で2000ミリも降っている
この異常気象で大変な事にならなければいいが・・・」
翌日、さしもの大雨も止んだ
ここは山梨と東京の県境にある奥多摩湖
この奥多摩湖は有効貯水量1億8千9百万トンを誇る
世界最大級の小河内ダムによって形成された
ダム湖である
これに最初に気付いたのはこの付近で漁師を営む
二本松安五郎という男だった
「ああ、うちの爺さんが山が光るのを見た直後にあれが
起こったらしい!
わしもそれをたった今山の中で見たんじゃ
あれは大地震の前触れに違いねえ」
「しかしねえ親父さん、別にそれに科学的根拠
あるわけでもないし、だいいちこのダムは
震度7の地震にも耐えられる設計になっとるんだ」
「なんだと所長、わしの言う事が嘘だというのか」
猟銃を突き付ける安五郎
「お・・・おいおい、なにするんだよ、、、、」
「しょうがないな親父さんは・・・・
じゃあ一応東京のD計画本部というとこに報告はしておくよ」
「デー計画本部・・・・なんじゃそれは?
とにかくあの光は尋常じゃあねえよ
やるんなら早く頼むぜ」
「ふふっ、親父さんはこのダムの事となると熱心だねえ」
「あたぼうよ」
「わしの生まれ育った村はな、ダムの底にあるんだ
わしには先祖代々の土地を見守る義務があるんでえ」
「ひえええっ、ナオちゃんっっ地震だぁぁぁぁ」
「落ち着いてサブちゃん、こんなのたいした地震じゃないわ」
この水沢アキ演じる二本松直子は、安五郎の娘である
下条アトム演じる永井三郎はその彼氏だ
「ねえサブちゃん・・・東京へ行くって本当なの?」
「ああ、こんな小さな村でタクシー屋やっても
儲からねえからな」
「む・・・・無理よ
うちのお父ちゃんそんなの絶対許してくれないわ
サブちゃん殺されちゃうよ」
「はははは、確かにナオちゃんとこのおじさん怖い人だけど
まさか本当に殺されるわけじゃないだろ」
「・・・・でもうちのお父ちゃんガチだよ・・・・」
「・・・・脅かすなよ」
なんと安五郎、空に向かって猟銃を乱射し始める
「ちょっとお父ちゃんっ、ガチで警察に捕まるよ」
「こんな山奥に警察なんて来るかっ
おい直子っ、そんな腰抜け野郎とまだ付き合ってんのかっ」
「三郎てめぇ、うちの直子にちょっかい出したら
マジで撃ち殺すぞ」
「す・・・・・すみませー---ん」
「もおサブちゃん、そんな弱腰だから
お父ちゃんあたしらの事認めてくれないのよ」
「だ・・・だってよぉ、、、、」
「おいっ、何グダグダ言ってるんでぇ
とっとと帰らねえと、どてっぱらに風穴開けるぞ」
「ひぇっ、帰りますっっ・・・・帰りますぅぅぅぅぅ」
「チッ、相変わらずの腰抜けっぷりだぜ」
「さあ直子、帰るぞ!
なんか山の様子おかしいからよ、父ちゃんしばらく
猟師は休業だ」
「・・・・・・・」
その頃小間寺の運転するジープの前に
あの有吉摩耶が飛び出してきた
「あはははは、小野寺さん
また会えたね」
「摩耶さん・・・危ないよ、、、、、」
「お春ばあやは、あたしが無事に福岡の親類の家に
送ったわ、和夫さんとも再開できたそうよ」
「ほう、そりゃよかった」
摩耶、そのままD計画本部まで付いてきちゃった、、、
ここ関係者以外立ち入り厳禁のはずなのに
「小野寺君、なんだねこの人は」
「は・・・はあ、有吉摩耶さんといって
小型飛行機のパイロットです・・・天草では世話になって・・・」
「なにっ、パイロットだって?」
「はい、飛行機の操縦には自信ありますの」
「うむ・・・中田君、この人に頼もうか」
「そうですね、D計画本部のパイロットと飛行機はみんな
別の仕事で出払ってますし・・・」
「実はね、奥多摩の小河内ダムで奇妙な発光現象と
地震があったって言うんだ
そこで飛行機でなるべく低空飛行で小河内ダムをビデオ撮影
してきてほしいんだよ」
「クソ、なんで俺が付き合わなくっちゃならないんだ」
当時のデカイビデオカメラを持たされて同乗を命令
された小野寺
当時からビデオカメラは市販されていたが、びっくりするほどの
高額のうえ、ベータでもVHSでもない特殊な規格のため
まだまだ一般には普及されていなかった
ブゥゥゥゥゥゥーーーーーン
「お・・・おいっ、ぶつかるっ、、、ぶつかるよぉ」
「あはははははっ、ちゃんと撮れた」
「な・・・なんとか、、、、しかし君の飛行機には
もう二度と乗りたくないな。。。。」
その頃安五郎の家では
「おい、直子はどうした?
まさかまた三郎のとこに行ってるんじゃねえだろうな」
「行ってないよ」
「本当かぁ?」
「アンタ、あたしが嘘言ってるとでも言うのかい
ぶっ飛ばすよ」
「ナマ言いました、、、ごめんなさいお母ちゃん、、、、」
安五郎もこのかみさんには頭が上がらないらしい
「ねえアンタ、三郎さんの何がそんなに気に入らないんだい?」
「何もかもだな、存在自体が気に入らねえよ」
「あの野郎はな、男のくせにノミよりもちいせえ心臓
してやがるんだ
わしゃそういう野郎が大っ嫌いなの」
「・・・・・・・」
「ねえお母ちゃん・・・サブちゃんが都会に出るんだって
あたしも来ないかって誘われちゃった・・・・
でもあたしどうしたらいいか、、、」
「どうしたらって、あんたの人生だろ
自分がやりたいようにやればいいさ」
「いいの?」
「そんな・・・・震度7にも耐えられる設計なのに・・・」
「おそらく地下のマントル対流のせいで地盤に亀裂が入り
そこに地下水が溜まって脆弱になっとるんだ・・・」
「そもそもあそこは関東の水瓶だ
しかも大雨で満水、1億8千万トンの水が一気に下流に
なだれ込む」
「で、想定される被害は?」
「多摩川沿いの、調布や世田谷、川崎までが
水浸しになるだろうね」
「長雨のため小河内ダムの貯水量は限界ギリギリだ
わしにも正確な被害は予測できん」
「そんな・・・・何か東京を救う方法はないんですか?」
「うむ・・・・・ない事はない」