1970年(昭和45年)を迎え、いよい各球団がペナントレースに
向けて動き出した
そんな中花形はいまだに消える魔球の残り20%の謎が解けず
毎晩悪夢に苦しんでいた
そんな事とは知らない村山阪神新監督はテレビに出演し
花形の打倒消える魔球に大きな期待を寄せた
一方飛雄馬は、大リーグボール2号に自信はあるものの
花形左門の執念に不安を感じていた
だが新監督村山のもとを訪れた花形は、村山監督の
ある一言から、消える魔球の秘密を全て見抜いたと豪語する
「じゃあ監督、ここからはいつもとは逆になりましょう
僕がピッチャーで、監督はバッターです」
言い忘れたがこの時村山監督は、引退してたわけではなく
プレイングマネージャー、選手兼監督なのだ
「監督はその火鉢の後方でバットを構えてください
ボールが見えたら打ってくれていいです」
「そのままその火鉢がストライクゾーンに来る位置まで
移動してください」
「ちょっと無茶な事やりますけど驚かないでくださいよ
もし後ろのガラス割れたら、ハナガタモータースに
修理代の請求書回してください」
この時、前の2球で火鉢の灰がボールに
ベタベタと付着していた
「き・・・消える魔球や
今のは消える魔球と同じやっ・・・・」
「そ・・・そうか、2球目は80%の魔送球
3球目が100%の消える魔球の再現いうわけやな」
「そうです」
「1球目で土瓶を直撃させて煙をあげ
その中にボールを続けて投げる・・・・」
「それは土煙に紛れる魔送球・・・・・
でもそれでは80%、完全には消えない」
「これはオズマに打たせるためではなく、魔送球の
土煙を風で吹き飛ばし、ボールが消えるか消えないかを
確かめるためだった」
「森捕手がそれに慌てて打撃妨害をしでかしたのを見て
星コーチは、消える魔球は風に弱いと言ったのです」
「左門は消えてからの球が変化するのかしないのかを
確かめるために、ホームベースにかぶさり
バットを振った」
「これは消える魔球が魔送球だと決定づけたと同時に
左門の汗でグラウンドに刻印された背番号の痕から
思わぬオマケが付いた」
「背番号の刻印を見た星投手と巨人の選手の慌てぶりから
左門は消える魔球が水分に弱いとにらんだのです」
「そ・・・それで?」
「ふふっ、星君もそう言いましたよ
その時点では僕もまだ消える魔球の80%しか暴けませんでしたが
今残りの20%も暴いたというわけです」
「ホ・・・ホンマかっ!?
ほな消える魔球の100%の秘密は、お前だけが・・・・
いや、我が阪神タイガースだけが掴んだっちゅう事なんやな」
「お前に彼女おるんか・・・・監督にそう聞かれた後の
言葉ですよ・・・・
僕は身を引いた明子・・・いや彼女の事を言った時・・・」
「監督は相思相愛やな・・・とおっしゃいましたね」
「ああ・・・なんかそんなん言うたな」
「野球に集中したいお前の気持ちと、それを察知して
足手まといにならんように消えたオナゴ・・・
まさに考えが一致しとる思て、相思相愛やなと・・・」
「あ・・・・そうか、土煙だけではボールは消えん
ボールと土煙が一致してこそ消える言う事か!」
「さすが2代目ミスタータイガースの村山さんです
正解です」
「消える魔球の秘密、残り20%の秘密とは
ボールにあったんですよ」
「うーん、という事はボールになんか仕掛けしとったのか?
しかし審判がボール確認しても何にもなかった言うで・・・」
「ボール自体に仕掛けはありませんし反則球でもありません
ルール上問題にならないある方法を使って
緻密にボールを見えなくしていたんですよ」
「つまりその方法とは・・・・ゴニョゴニョ」
いや別に周りに人はおらんから耳打ちの必要ないような・・・
バシッ
すでに花形に全てを見破られたとは知らない
飛雄馬と伴
「勝てるっ!
今年こそは阪神タイガース優勝やっ
少なくとも去年星にやられた負けはなくなりよるわ」
しかし阪神ファンとか毎年開幕前に必ず優勝宣言するよね
優勝祈願じゃなく、宣言(苦笑)
いや、別にいいけどさ
なんか飛雄馬にしろ花形にしろ、都合の良いように
解釈されてしまう明子ねーちゃん
このバカ2人に気遣いしたというより、そんな環境に
堪えられなくなって、失踪したとしか・・・・
巨人の星(栄光の星編)第137話 「消える魔球の手がかり」②-2
につづく