オーロラ三人娘の橘ルミとの交際は破局に終わった
飛雄馬は、ようやく自主トレに参加するが
鈍った体はいう事をきかなかった
やがて始まる宮崎キャンプも、契約未更改のため
自費参加、だが飛雄馬は大リーグボールに絶対的な
自信を持ち、年俸倍額までサインはしないと宣言
伴や姉明子の心配を他所に、父一徹の分まで稼ぐと
大見得を切った
そんな中、父一徹は中日ドラゴンズの水原新監督に
呼び出され、中日のコーチ就任を要請される
一徹はなんとこれをすんなり了承
だが条件があると言い出した
「いいでしょう、あなたの言われる条件とやら
お聞きしましょうか」
「あなた方もおそらくご存知の、カージナルスのオズマ
なんでも聞くところによると日本のしかも巨人以外の
チームでのプレーを希望しとるようですな」
「あれを是非中日さんが獲得し、わしにあやつの
指導を全て任せていただきたい!」
「ええっ!?」
ちなみにこの年中日に入った助っ人外国人は
スティーブ・フォックスという無名の選手1人
この人水原監督の友人の息子で、入れてくれと頼まれて
入れたが練習をたびたびサボって、1年でクビに・・・
「しかしオズマって、カージナルスの秘密兵器だろ」
「本人が希望しても、やすやすと譲ってくれるのかなぁ?」
「いや、その前にいくらかかるんだ」
「ほ・・・星さん、一応交渉はするが
あのオズマって息子さんの天敵ですよねえ・・・・」
「しかもあいつ、大リークボールの欠点見抜いたのはいいが
バット投げて息子さん殺そうとしてましたぞ」
「それにしても、そんな選手を指導したいとは・・・
本気ですか?」
「何を言っておられる!
打倒巨人を目指すなら当然手に入れたい選手のはずだ
あのパワー、洞察力、スピード、どれを取っても理想的じゃ
それに厄介な大リーグボールを打てる可能性がある選手は
オズマしかおらんと思うが」
「えーーーーーっ、だ・・・大リーグボールを打つぅ?」
「そう、打ち崩す!
コテンパンに・・・」
「い・・・いや、しかし大リーグボールの星は
アンタが鍛え上げた実の息子さんでしょ・・・」
斬り合いなど日常茶飯事
別に驚く事もあるまい」
「とにかく、ドラゴンズがオズマを獲得し
なおかつわしに指導させてもらえぬのなら、この話は
なかった事にしていただく!」
「そうと決まれば早速重役会議にかけてオズマ
獲得に動きますよ!」
「ふはははは、こりゃめでたい!
なんか久々にワクワクしてきましたぞ」
「では前祝として今日は、いっちょパーッと
飲みあかしますか、ハッハッハッハ」
「いや、悪いがわしはある願掛けのためここ10年ほど
酒は断っておりますんで・・・」
「願掛け?
そりゃまた古風な・・・・しかし何の願掛けですかな」
「ふっふっふ・・・この席で言っていいものかどうか
迷いますがな・・・・」
「わしの息子飛雄馬が、巨人の星座にひと際デッかく光る
明星になる日を願ってですわ」
「もしオズマ獲得が決まったら連絡ください」
「わかりました」
「オズマ中日入団の日こそ、わしが中日のユニフォームに
袖を通し、コーチに就任する日ですわい
男に二言はありません」
「何がですか?
案ずることは全くないと思ってますがね、ふふふふ」
「鬼よっ!鬼が出たぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
客に対してどこまでも無礼な料亭だな・・・
「さよう、今のわしは鬼だ!
父と子、血肉を分けた血みどろの嵐を呼ぶ鬼だ!!」
『父ちゃん、野球を降りた父ちゃんの代わりに
これからは俺が働いて喰わせてやるぜ!』
まさか一徹親父が中日コーチに就任するなど
この時の飛雄馬は思ってもいない
『飛雄馬よ、働くがいい
勝手に思い込んで、精一杯な・・・・』
お前の敵として』
『その時になって慌てふためかんよう、しっかり
鍛えるがいい!
飛雄馬ぁ、覚悟しておけ』