オズマとの死闘の挙句疲労で倒れた飛雄馬は
病院に強制入院
その間、病院に嫌がらせにやってきたオズマによって
「お前も俺も野球しか出来ない野球ロボットだ」と
勝手に同類にされ、ヘコむ飛雄馬は病院を脱走
「こうなりゃ野球人形で生きるしかない」と
開き直り、病院に戻ったはいいが
なんの罰ゲームなのか、2~3週間も入院させられた挙句
ボール投げで、院長室のガラスを割ったおかげで
今度は院長から長々と沢村栄治の話を聞かされる
『臨時ニュースを申し上げます、臨時ニュースを
申し上げます、大本営発表によりますと本日未明
日本艦隊はハワイ真珠湾に攻撃を開始し・・・』
太平洋戦争の開戦を告げるラジオ放送(実物)
「日本軍は真珠湾攻撃を皮切りに、破竹の勢いで
連戦連勝を続け、香港シンガポールなどを
次々に占領していった・・・」
「しかし、その勢いは1年も続かなかった、、、、
翌17年にはミッドウェイ海戦でボロ負けして、そこから
地獄がはじまった」
まあ学校の先生からの受けは良かったかもしれんけどね
文部省(当時)からの推奨でもされたかったのか?
「沢村君が送られたのは、太平洋の真っただ中の
ミンダナオ島(フィリピンじゃん)・・・
わしも今度ばかりはダメじゃと思っとったが・・・」
「いやぁ、驚いたよ・・・・まさかこんなに早く
戻って来られるとは」
「しかし内地も変わりましたねえ・・・先生まで
防空の訓練されてるとは・・・」
こんどはやけに痩せてる沢村
「巨人のユニフォーム・・・いや制服も
巨の一字になったよ・・・」
「ストライクはよし、ボールはひとつふたつみっつ
セーフがよし、アウトは引け・・・」
「でも都市対抗や甲子園大会のように、職業野球は
中止にならないだけマシですよ」
「巨人軍も変わった、、、水原、三原、川上、千葉、吉原
みんな戦争に行ってしまった」
「残っているのは、須田博と名前を変えたスタルヒンと
君の後輩の中尾、あと白石・・・」
「わかってます・・・前のように少し鍛えたくらいでは
体は、元には戻らないでしょう、しかし先生にも
協力してもらって、是非マウンドに戻してください」
「みんなが戦争に行って大変な時だからこそ
力になりたいんです!」
「世間ではもっか5連覇の巨人軍も、今年はもうダメ
だろうと言われてます、それが悔しいんです」
院長は沢村の復帰のために協力する事を約束したが
当時の国内の食糧事情ではどうしようもない
※1940年から球団名はただの「阪神」
戦後1946年からは大阪タイガースが復活
「それでも観客は、沢村の顔を見ただけで
喜んでいたが・・・」
「これがベーブルースを三振に打ち取った男か、、、
タイガース相手に3連投した男か、、、、」
「いやぁ、大炎上しちゃいました・・・・
でも次はもっと速い球なげますよ」
「自分でもダメなのはわかっていただろうが
そんなのは表に出さず、ただ巨人軍のためだけに
投げていた沢村君。。。」
「わかりきっとるじゃろう・・・炎上炎上また炎上
ついには相手から負けそうになると、沢村を出せと
ヤジられるようになった・・・」
「そうしてるうちにだんだん調子を取り戻したよ」
「へえ・・・そりゃすごい!」
というが、実際はたった4試合に登板しただけで
先発3試合は3連敗、防御率は10.64という成績で0勝3敗
この年で戦力外通告されてしまった
「でも調子取り戻したのに、なんでこの写真が最後の
登板になったんですか?」
だが、これは史実とは全然違う
マラリアに感染したのは事実だが、それはこれより
2、3年前の話で、そもそも沢村の免疫力がゼロでも
ない限り、そんな何度も同じ伝染病は発症しない
「がんばるんだ沢村君っ!
この病気は根性で治るっっっ」(ムチャクチャ言う院長)
「こ・・・根性なら負けませんっっっ」
この後また、日本軍の玉砕につぐ玉砕など
負け戦の歴史が流れる
「もう野球の時代は終わった」と告げると
沢村は病院を去って行ったという
巨人の星(雄飛編)第91話「栄光のピッチング(沢村栄治物語)②-2」
につづく