第16話 ウォッス10番 16-2 | 野球侍SAKIのブログ

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ももクロの夢はモノノフの夢

新潟西高の投手富樫平八郎は、実力はありながら
エース日下部了の影に隠れ、控えに甘んじていた
最後の夏の大会、新潟県予選二回戦はチームが苦戦
0-0で迎えた9回裏絶好のサヨナラのチャンスも
三塁コーチャー平八郎の判断ミスにより得点ならず
最終的には延長戦での押し出しでサヨナラ勝ちするものの
平八郎に非難の嵐が集中してしまう



平八郎が帰宅すると、あの判断ミスで
親父が激怒していると妹(長女)に聞かされる

 


「マジかよ、、、、まいったな(゚_゚i)」

 


この頃平八郎の親父は体調を崩して寝込んでいたのだが
「なんでぇ平八っ、今日のあの指示はよぉむかっ

 


「あんな判断ミスするんならとっとと野球やめちまえ!
お前には所詮野球は向いてねえんだよムキー

 


「わ・・・わかったよ・・・もう、、、汗

 


体を壊してから毎日のように店の跡継ぎをしろと言う
親父の言葉に、平八郎もほとほと困りかけていた

 


「兄ちゃん野球やめちゃうのかな・・・・」
これが平八郎の弟妹たち
貧乏な魚屋で5人も子供いるのか・・・・
ちなみに平八郎の弟妹たちも里中キャラである

 


準々決勝も相変わらず西高は打てず、日下部のピッチング
だけが頼りの試合となった

 


この日も平八郎は当然ベンチ

 


日下部が本来の実力を発揮して1点を守りきる

 


最後のバッターも空振り三振

 


西高はこれで甲子園まであと2つとなった

 


平八郎が家に帰ると、今度は母親が深刻な表情

 


なんと親父が末期の癌に犯されて余命は1年ほどだと
聞かされる

 


「平八~もう野球なんか辞めて家を継いでおくれ~えーん

 


「父ちゃんがいなくなったら一家六人飢え死にだよ~あせる
泣きつかれる平八郎

 


い・・・いや、でも俺甲子園出たいし、、、滝汗

 


準決勝はまたも西高はピンチ
日下部が連投の疲れからか本来の調子ではない

 


リリーフの準備に平八郎がブルペンに向かう

 


「ついに10番が登板か!?」
スタンドがざわめいた

 


投球練習をする平八郎だったが・・・

 


前日の母の言葉がずっと重くのしかかった

 


『やっぱ俺・・・野球辞めないといけないのかな・・・』

 


そうしてる間に最後の打者がライナー性の打球を打つ

 


日下部、これをグラブで弾く
同点のランナーは二塁から三塁へ

 


しかし弾いた方向がほぼファーストの守備位置だったため
ファーストはこれを捕球してベースにタッチ!

 


これで西高の決勝進出が決まったビックリマーク

 


ツキもある日下部

 


「はは平八、お前の出番はないから
甲子園へは俺が連れてってやるぜニヤリ

 


スタンドの声援に応える日下部
西高はまさに日下部のワンマンチームな様相に

 


「しかし今日はヤバかったぜ・・・日下部もさすがに
疲れがピークだよな」

おなじみの解説高校生

 


富樫家は親父が病床についたため、閉店休業
魚の仕入れができなくなったからだ

 


この親父の容態を見て、さすがの平八郎も野球を辞める
決心をせざるを得なかった

 


『もうこの俺が店を継ぐしかない!』

 


平八郎の様子を見に来た夕子
平八郎の弟妹たちからもすっかり慕われている

 


「平八兄ちゃんのお嫁さんになるんだよねニヤリ
という言葉に顔を赤らめる

 


その頃平八郎は、家業を継ぐ決心を固めていた

 


大事にしていた野球関連の本やノートを焼却しようとする

 


バサッ、メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ

 


「ちょっと平八君っ!何してるのっ!!」
ザッサー
夕子、たき火に命がけのヘッスラ(^o^;)

 


「平八君、あんなに必死に取り組んでた野球を
そんなに簡単に捨てられるの!?」

 


「そりゃ日下部君の影に隠れて出番もないけど、平八君は
悔しくないの!あなたは悔しさを燃やして逃げるの?」

 


「うるせー、お前にそんな事言われる筋合いはねえよ!
余計な口出しするな!!」

 


「よ・・・余計な口出し・・・平八君・・・・
私の事・・・そんなふうにしか見てくれてないのね、、、(´・ω・`)」

 


「・・・・・・・・」

 


「私・・・平八君の事好きなの!平八君は私の事
幼馴染みとしか見てくれてないけど・・・あなたの
本当の気持ちが知りたい!!」

 


「明日の試合が終わったら、あなたの本当の気持ち
教えてちょうだいっ!」

 


メラメラメラメラメラメラメラメラめらめらメラメラメラメラメラメラメラメラ

 


『なんでこのタイミングで告るんだろ・・・あの女真顔

 


そしていよいよ決勝の日

 


「おい、テレビつけろや・・・平八の試合やってるだろ」

 


「何言ってんだいアンタ、そんなもん見たって仕方ないだろ
どーせ平八出場できやしないんかだから」

 


「あの子はアンタの言う通り野球を辞めるんだよ
店はあの子が継いでくれるんだから、もう試合なんて
どうでもいいよ」

 


「へっ、バカヤロー・・・いつ俺が本気であいつに
野球辞めろなんて言ったよ?」

えっ!?

 


「俺の倅がそう簡単に生き方変えるわきゃあねえんだビックリマーク
俺に似て頑固なやつだしよ( ̄ー☆」

 


「とっととテレビつけろや」

 


テレビを付けると球場内は大歓声に包まれていた

 


なんと平八郎がマウンドに!

 


日下部はチームメイトに担がれて降板していた

第16話 ウォッス10番 16-3につづく

 

 

 


突然ですが、1980年(昭和55年)8月11日
第62回全国高等学校野球選手権大会の大会4日目第2試合
全国の高校野球ファンの度肝を抜く1年生投手が現れた!

 


早稲田実業の荒木大輔だ
当時優勝候補にもなっていた大阪北陽高校相手に
あわやノーヒットノーランという快投を見せた( ̄□ ̄;)

 


これを境に早実の快進撃は続き、決勝で惜しくも愛甲の
横浜高校に敗れたものの、荒木は全国に
「大ちゃんフィーバー」を巻き起こした

 

                        うえ

荒木大輔が甲子園で大ブレイクした甲子園のスタンドに
母校早実に声援を送る向って左から3番目のこの少年
彼は荒木と同級生でベンチには入れずスタンドでの応援

 


彼の名前は石井丈裕
後に西武ライオンズでエース級の活躍を見せ

1992年のヤクルトとの日本シリーズでは岡林と延長10回
155球を投げ抜き、自ら同点タイムリーも放って
MVPにも輝いた投手だ

 


この石井、高校時代は実力はありながらも荒木の影に
隠れてなかなか出番がなく、故障という不運もあったが
まさに富樫のような立場だった
ちなみに池田の水野に満塁ホームランを打たれたのも
この石井だった

 


石井は早実卒業後は法政大に進学するも、ここでも
元南海の西川佳明と元阪神猪俣隆の影に隠れ
やっと表舞台に立てたのは、大学4年くらいからだったと思う
その後は社会人野球のプリンスホテルに進み、ここで
ようやく才能を開花させた

 


88年のドラフトでは、プロ入り拒否の姿勢を示すも
西武が2位で強行指名指名、プリンスホテルが西武系列のため
密約説も飛び出したが、苦節8年でついにプロ入りを果たした

 


プロ入りは遅かったものの、通算成績は68勝52敗10セーブと
荒木より上なのだ(荒木は39勝49敗2セーブ)
高校3年時の背番号は奇しくも富樫と同じ10番
まあプロ入りして打者にこそ転向しなかったものの
石井はもうひとりの「ウォッス10番」だった