
「晴れの日に頂を目指すのではなく、広大な湿原を愛でながらただひたすらに木道を歩く、そんなハイキングをしてみたい。今年は尾瀬ヶ原をハイキングし、見晴でテント泊をする」それが目標だった。
昨年から準備していたその夢が叶った。
自宅を3:30に出発し、マイカー規制のある尾瀬へ向かうため、まずは群馬県片品村にある戸倉駐車場へ向かった。
第一駐車場は満車だったので第二駐車場に8:15に到着した。8:30に鳩待峠行きのバスが出るというので急いで登山靴に履き替えザックを背負い乗車券を購入してバスに乗り込んだ。

鳩待峠からパックウェイト9kg(水は1L) の32Lザックを背負い待ちに待ったハイキングの開始だ。

沢のせせらぎを聴きながら森林に覆われた木道を歩いて行く。僕の住む街とは比べものにならないくらい涼しい。
古い木道もあれば、新しく敷き直した木道もある。新しい木道には2020や2023といった補修年が焼印されていた。
3km程歩くと山ノ鼻に到着。

ここからいよいよ尾瀬ヶ原。湿原から雄峰、燧ヶ岳が見えた。
実際に初めて見る景色は新鮮で五感を刺激する。
百聞は一見にしかず、とはよくいったものである。

しばらく歩くと歩荷さんが休憩をしていた。
荷物を70-120kgも積んで歩くとnetで読んだ。
9kgの自分のザックですら重く感じるのにその7-12倍以上だと思うと恐れいる。

見晴にあるいくつかの山小屋が見えてきた。
見晴には6軒の山小屋があり、尾瀬沼・富士見峠・山ノ鼻・三条ノ滝の四方からの道が合流する十字路との愛称で親しまれているハイカーのオアシスと云っても憚られない場所のように思う。
今まではパックウェイト5-6kgほどのリュックやザックを担いで山歩きしていたのでそれほどでもなかったが、今回は足の裏と右足の指に痛みが出た。疲れて足が上げずらいことはあってもこれは初めてのことだ。
情けないことかも知れないが、これが今の自分の現実だった。

お昼近かったので尾瀬小屋で生ビールとステーキ丼を注文した。
ここまで歩いてきた身体にビールが沁みた。

ガーリックとの相性が抜群のステーキ丼は「素敵な君にわざわざ逢いに来たのだよ。ステーキ丼さん」と思ってしまうほどの美味しさだった。特に歩荷さんがここまで食材を運んでくれたというスパイスも効いていると思う。

至仏山を愛でながらテラスで飲む2杯目の生ビールも格別だった。

昼食を終え、キャンプ場のある燧小屋へ向かい受付を済ませてからキャンプ場へ行くとだいぶテントが設営されていた。
奥の日陰にテントを設営し、休憩所でKindle電子書籍リーダー片手に読書をしていると、福島県にある高校山岳部2校が多勢キャンプ場に戻ってきた。
この後行った尾瀬小屋の小さなお風呂で山岳部の生徒4人と一緒になったので話を訊くと引率の先生と朝5時に燧ヶ岳に出発し、約8時間かけ登山を終えてきたのだという。「山頂からの景色が綺麗だったっス」と話してくれた。
16:00に早めの夕食をしに再び尾瀬小屋に向かった。
夕食はガパオライスとハイボールにした。

夕食後、しばらくのんびりしてから尾瀬ヶ原を散策しに出掛けた。夕暮れの尾瀬ヶ原も綺麗だった。































