
目が覚めたので街に出てみようと思った。
夜のオーチャードロードがどんな感じなのか歩いてみたくなった。
21:00過ぎのオーチャードロードは僕の住む街とは違い、人々で埋め尽くされていた。
イルミネーションが輝き、彩られたオーチャードロードは綺麗だった。
大きなクリスマスツリーの前で記念撮影をしている家族やカップルが大勢いた。
クリスマスが夏となるオーストラリアではサンタクロースがサーフィンに乗ってやって来るようだが、暑いシンガポールではサンタクロースはどんな風にやって来るのだろうか?
とふっと考えてしまった。
少し遅い夕食を文東記で取りたくなりタクシースタンドに並んだが、かなりの人がタクシーを待っていた。タクシー会社にコールしている人も多く行灯にCALLの文字が表示されたタクシーが次々と入ってきた。
30分くらい並んだところでタクシーに乗り込むことが出来た。「文東記へ行きたい」とドライバーに告げるとタクシーは渋滞のオーチャードロードへ走りだした。
深夜、ホテルのバーでビールを飲んでいると、軽い食事を取りたくなった。
プロウンミーが食べたくなったが、この時間開いている店が分からない。
ホテルランデブー近くにコピティアムという複合飲食店があることは分かっていたが、以前ここの店に行ったときにプロウンミーの店がなかったことを思い出した。
「日本の蕎麦にしよう」と思い直し、モハメド・スルタン通りにあるJapanese restaurantに行ってみることにした。
金曜日ということもありモハメド・スルタン通りはクラブに入れない人々が路上にたむろしていた。ここのJapanese restaurantには初めて入った。店があることは知っていたが今まで入ったことがなかった。
サザンオールスターズの曲がかかった店内は広めのテーブルで焼酎と日本料理を楽しむグループと、カウンターで寿司を楽しむシンガポーリアンがいた。
メニューを見ると蕎麦がなかった。残念に思ったが、今更別の店に行く気力をなかったので、お茶漬けとタイガービールを注文した。八海山や黒霧島といった日本酒や焼酎も置かれていたが、朝早くに帰国するので止めることにした。
「“お愛想”をお願いします」と日本語でいうと女性店員がその言葉を理解出来ないでいた。別の女性店員が「チェックのことよ」と彼女に教えていたので、僕は“「チェックのことよ」”と言った女性店員に「日本語はどこで勉強したんですか?」と尋ねると「日本人ですから・・・」という答えが返ってきた。どおりで日本語がうまい訳だ。僕は苦笑してしまった。
朝早く、ホテルからタクシーに乗りチャンギエアポートに向かった。
このタクシードライバーが、かなり陽気な人で乗ってから空港までずっと話っぱなしだった。
「次にシンガポールに来るときは電話してくれよ。シンガポールの面白いところを案内するよ」と言って僕に電話番号が書かれたメモ用紙を渡してくれた。
帰国の機内で昨夜はあれから一睡もしていなかった僕はときどき目は覚めたものの食事も取らずに、すっかり眠ってしまった。軽食が運ばれてきたころかなり怠かったが起きることにした。僕のとなりの女性が「すみませんが、トイレに行きたいのです」というのでトイレに行きやすいように席を立った。帰ってきた彼女が「ありがとう」と言って席に着いた。「エコノミーでもこの席は狭いわね」と彼女はごちていた。
「どこに行くんですか?」と尋ねると「ホノルルまで」と答えた彼女に思わず「いいですね!」と答えてしまった。彼女はインドネシアンチャイニーズで旦那さんと娘さんと3人でホノルルに行く途中で、残念ながら席が別々になってしまったのだと教えてくれた。
現在は旦那さんの住むクアラルンプールに住んでいて、車で約3時間かけシンガポールに来てから、この航空機に乗り込んだのだという。ホノルルの後はサンフランシスコだと聞き、羨ましくなってしまった。以前関西空港に行ったことがあり大阪の街を楽しんだそうだが、成田は何もない街だと寂しがっていた。「電車やバスで40分から1時間くらいかけると東京へ行けますよ」と教えてあげると「東京は大きいんでしょうね?」とつぶやいた。
僕も考えてしまった。ひょっとすると東京へ行くより、こうして海外に出掛けたほうが多いかもしれない。それだけ東京に行っていないなと・・・。
航空機が無事、成田空港に到着した。
僕は「Have a good trip !」と彼女に声をかけ、ゆっくりと到着ゲートへ歩いて行った。