阿津川辰海さんの「バーニング・ダンサー」を読みました
飛来した隕石の影響で、地球上で100人が「コトダマ使い」の能力を持つようになったという設定です
100種類の「コトダマ」なる能力は、「1人1つまで」「持ち主が死ぬと地球上の誰か別の人間に発現する」というように、「ワンピース」における「○○の実」の能力みたいなものです
この能力を犯罪に悪用する者が出てくるのは当然で、その対策として日本でも特別チーム「警視庁公安部公安第五課 コトダマ犯罪調査課」が結成されます
その名称からもわかるとおり、そのメンバーのキャラクターがもろにチェンソーマンのオマージュになっています
三笠葵 → マキマさん
永嶺スバル → 早川先輩
桐山アキラ → デンジ
坂東宏夢 → 岸辺隊長
特にマキマさんの再現度は高くて、なんと永嶺と坂東が三笠に知られないように筆談するシーンまで出てきます
主人公永嶺スバルのコトダマ能力「入れ替える」は「呪術廻戦」に登場する東堂葵の術式「不義遊戯(ブギウギ)」、「真似る」というコトダマ能力は「HUNTER×HUNTER」に登場する旅団団長クロロの念能力「盗賊の極意(スキルハンター)」が由来だと思われます
他にも様々なオマージュが盛り込まれているだろう本作は、阿津川さんの個人的な趣味嗜好が全面的に取り入れられた作品になっているようです
ただし、内容は極めてしっかりしていて、様々な企みが多重的に効いてくる構成になっています
マキマさんが出てくる以上は当然予想される展開があるわけですが、そこがそうなったとしても「まあ、マキマさんだからな」ということでOKでした
阿津川さんは、小説を読み慣れていない読者に対する気遣いも細やかで、最近の作品では「捜査メモ」のような形で、それまでのまとめを頻繁に作中に示すようにしてくれています
短い動画をみることが主流となっていて、映画も早送りでみるのが当たり前になっている現代においては、小説を読むことは慣れていない人には極めて高いハードルになるはずです
本作のように、マンガ・アニメのオマージュをたくさん織り込んだ上で、読みやすくする工夫をすることは必要なことなのでしょう
↓スレッズの方もよろしくお願いします