アリ・アスター監督の「ボーはおそれている」をみてきました
怪作「ミッドサマー」に続く最新作です
主人公のさえない中年男ボーは、極めて軽度ではあるものの障害があるようで、何でも気にしてしまう臆病な性格です
それなのに、暴力・薬・貧困が渦巻くはちゃめちゃな街で生活をしているところが、まずミスマッチで可笑しい
7ヶ月ぶりに母を訪ねることになっていたボーですが、悪夢のようなトラブルに立て続けに見舞われて、予定していた飛行機に乗ることができません
しかも、母に電話してみると、どうやら母が急死してしまった様子
ボーが住んでいる建物の1階に人が大勢集合し始めるところや、ひと騒動後にボーが風呂に入るシーンは、もはやコントでとにかく爆笑
正気を失いかけたボーは車に轢かれてしまい(そこも爆笑シーン)、次に気がつくといかにも怪しい雰囲気満点の一軒家で看病されています
ここの娘のヤバさも最高で、ペンキ塗りのシーンは、その娘の母のリアクションも含めて大爆笑です
その後も、どうしても母のところに行くことができないボーのエピソードが重ねられていきますが、最後の見せ場はようやくたどり着いた母の家でのシーン
ラスト直前までは、まあまあ普通の流れなのですが、ラストがぶっ飛び
藤本タツキさんの「さよなら絵梨」を思い出しました
ラストの舞台は、倒置法みたいに、ボーが最後に母に対してとった行動の直前におけるボーの脳内なのかな?
3時間もの長尺なので、まるでフォアグラのように映画館の椅子に縛られたまま一方的に悪夢を詰め込まれる感じでした
筒井康隆さんの「走る取的」や「乗越駅の刑罰」は大好きな作品なのですが、本作はそれらも思い出しましたね
安部公房さんの「密会」も似た雰囲気があるかな
ユダヤ人の文化に通じていないと意味がわからないという前評判を気にしていましたが、問題なく楽しめ、「ママ、きがへんになりそうです」というキャッチコピーのとおりに、しっかりきがへんになって帰りました
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