夢野久作さんの「いなか、の、じけん」を読みました
1927年から1930年にかけて発表された20の掌編からなる作品集です
かなり昔に読んだことはあったのですが、同作がモチーフの新作を対象にした文学賞の応募が最近されていたのをみて、久しぶりに青空文庫で読んでみたわけです
いずれも九州を舞台にした内容で、いかにも田舎っぽい朴訥な邪悪さに満ちたエピソードが語られているのですが、この時代においてそれらが格別田舎ならではのものだったのでしょうか
「当時は東京でも大差なかったのでは?」と感じてしまいましたが、私は川崎市と東京都にしか居住したことがなくて本当の「因習村」を知らないために、その辺の感覚は当てになりません
それにしても本作を飛び交う「禁止用語」の絢爛さよ!
按摩、後家、めくら、乞食、きちがい、白痴、片輪などなど
これらの言葉には人を見下す意識がビルドインされているので、現代においては使用が好ましいといえませんが、本作の世界観にはぴったりフィットしてきます
もちろん、作者が意図したことではありませんが
また、面白いと思ったのは「通い帳」という言葉
なるほど、通帳とはそういう意味からきた言葉なのかと今さらながら膝を打ちました
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