方丈貴恵さんの「名探偵に甘美なる死を」を読みました
高名な「素人探偵」8人が、孤島にあるゲーム会社所有の屋敷に集められ、ヴァーチャルリアリティのミステリゲームに参加させられます
ただのゲームではなく、リアルの命をかけたデスゲームだというのです
当初運営者の意図に気がつかず、人質を取られてしまっている参加者たちは抗えません
運営者からは、8人の中には犯人役がおり、その者がヴァーチャルリアリティの世界で他の参加者を殺害することになっているので、事件が起きたら犯人と犯行方法を推理するようにとアナウンスされます
また、8人の中には運営者の共犯者である執行人も混じっているとのことです
推理を外した探偵を現実世界で殺害するためです
リアルの館とヴァーチャルリアリティの館をうまくミックスさせたアイデアは良かったのですが、自分には作中のルールが複雑すぎて、丁寧に追いかける気力がわきませんでした
「何でもあり」の世界は、ときに読者を冷めさせかねません
運営者の「真の狙い」も、結局尻すぼみになるなら最初から提示しなくてもよかったのではないでしょうか
ちなみにヴァーチャルリアリティものでは、早坂さんの「アリス・ザ・ワンダーキラー」が個人的には好きです
また、なんといっても1989年にVRネタを繰り出していた岡嶋二人さんの「クラインの壺」の先見性には、改めて驚かされますね