早坂吝さんの「しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人」を読みました
まず冒頭において、餓田という社会に適合できない若い男性が、ささいなきっかけから流されるようにしてしおかぜ市一家殺害事件を引き起こすエピソードが描かれます
続いて、女探偵死宮遊歩シリーズで有名だという死宮遊歩なる作家が、喫茶店で警察に所属する人間と何やら打ち合わせを始め、「迷牢宮の殺人」という作中作が語られていきます
「迷牢宮の殺人」は、死宮遊歩が何者かによって迷路状になった施設に監禁されてしまったところから始まります
他に6人の男女も監禁されており、「運営者」からは、ここには6件の重大未解決殺人事件の犯人を連れてきており、各人の部屋の金庫にはそれぞれの犯罪にまつわる凶器が収められているという説明がなされます
毒殺事件の犯人の部屋の金庫には毒が、射殺事件の犯人の部屋の金庫には拳銃が、爆弾事件の犯人の部屋の金庫には爆弾が、絞殺事件の犯人の部屋の金庫にはロープが、バラバラ事件の犯人の部屋の金庫にはチェーンソーが、そしてS市一家殺害事件の犯人の部屋の金庫には金属バットがあるというのです
そのうえで、「運営者」からは、凶器を使ってお互いに殺し合うことを命じられます
死宮遊歩の部屋の金庫には何も入っていませんでしたが、早速IT長者が毒殺され、女性の医師が爆殺されます
卓越した推理で真相を追及していく死宮遊歩ですが、絶体絶命のピンチに
という話が繰り広げられていくのですが、果たしてこの作中作と冒頭の事件の関係は???
種明かしはなるほど
作中作にはちょっと唐突で無理を感じるところがあったのですが、納得しました
しおかぜ市一家殺害事件の被害者となる娘の特徴についても、そういう意味があったのか
最後も餓田の特徴をうまく利用した展開になっており、やりきれないラストもきれいな着地でした