浅倉秋成さんの「俺ではない炎上」を読みました
本作の前に読んだ「六人の嘘つきな大学生」が非常に良かったので、今回のハードルはかなり上がっています
ごく平凡な営業マンである主人公は、あるときネットで連続殺人犯の汚名を着せられ、あっという間にその情報は世の中に拡散されていきます
会社への電凸だけでなく家に凸してくる奴も当然出てきますし、逃亡しても気が休まるときはありません
この設定は、当然筒井康隆さんの「おれに関する噂」を現代版にしたものですね
主人公の一人称が「俺」ではないのにタイトルで「俺」を使っているのは、リスペクトの証なのでしょう
ただ、本作では、炎上のいやらしさや恐ろしさの表現がもう1つでした
そんなのわざわざ書かなくてもわかるだろうというであれば、賛同できません
やはり、その点はもっと描写してほしいところです
また、思い切ったトリックをとりいれているところがあるのですが、個人的には強引すぎてその点にもあまり魅力を感じませんでした
それにしても、「おれに関する噂」は1978年の作品だというのですから、やはり筒井康隆さんはとてつもないなあ