稲羽白兎さんの「仮名手本殺人事件」を読みました
デビュー作が文楽をテーマにしていたのに続き、本作は歌舞伎がテーマのミステリです
歌舞伎界の重鎮が仮名手本忠臣蔵の舞台で毒殺され、観客席にいた謎めいた男も劇場内で毒により死亡しているのが見つかります
仮名手本忠臣蔵の切腹シーン前後は客席からの出入りを禁じられるのがお約束だそうで、そのことから劇場を密室に例えるのは面白いですね
「歌舞伎役者といえば」が真っ正面から扱われている点や、なぜ二階席から直接みることのできない一階席を確認できたのかという点についても、歌舞伎をテーマにした必然性がしっかりと感じられるところからも、デビュー作に比べて作品の力が明らかに向上しています
一作目と同じく登場人物がごちゃごちゃしてわかりにくいところはありましたし、謎の男の正体がとってつけた感じを受けましたが、トータル的には十分満足しました