ホリー・ジャクソン/自由研究には向かない殺人 | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

ホリー・ジャクソンさんの「自由研究には向かない殺人(A GOOD GIRL'S GUIDE TO MURDER)」(服部京子訳)を読みました

 

イギリスのロンドン近郊に住む高校3年生ピッパ・フィッツ・アモービは、幼いころ父を亡くしたものの、母の再婚相手とその連れ子と4人で仲良く暮らしています

 

夏休みの自由研究対象として、ピッパは、5年前に発生した女子高校生行方不明事件の再調査を選択します

 

女子高校生アンディが行方不明になった直後には、彼女と交際していた男子高校生サルが自殺をしており、様々な状況証拠からみて彼がアンディを殺害してどこかに遺棄したことは間違いないと考えられており、今も町に住むサルの家族は過酷な思いを強いられています

 

義理の父と弟が黒人であることから、いろいろな思いをしてきたピッパが、上記事件を調査対象にした動機がまずよくできていました

 

「目的は手段を正当化する」ということはあまり一般化したくはないところですが、ピッパはサルの弟ラヴィを引き連れて、持ち前の行動力で手段を選ばずにぐいぐいと真相に迫っていきます


ピッパの明るく真っ直ぐな性格が爽やかですし、SNSを駆使しての調査が今風ですね

 

サルがアリバイを奪われてしまった真相やピッパに対して謎の人物から調査をやめるようメッセージが繰り返し送られてくるところなどは、かなりありがちな流れではありましたが、それでも先が気になってページを繰る手が止まりませんでした

 

ピッパの仕込んだ作戦が当たって脅迫者が明らかになるシーンはとてもスリリングでしたし、そこからもうひとひねりふたひねりを入れてくるところも工夫されていました

 

ピッパが「犯人のアジトで監禁されていたアンディ」を見つけるシーンなんかは、映画化されたときには非常に印象的になりそうです


犯人が懇切丁寧にベラベラしゃべりすぎな気もしますが、大きな犠牲を払ったピッパにはそのくらいの報酬がないとということでしょうか

 

本作は作者のデビュー作だそうで、続編もすでに2作発表されているとのこと

 

訳文もこなれていてすごく読みやすかったので(邦題も素敵です)、それらも翻訳されたらぜひ読んでみたいですね