ピーター・スワンソンさんの「ケイトが恐れるすべて(Her Every Fear)」を読みました
前作がすごくよかったのですが(2018-07-17)、本作もなかなかでした
ロンドンに住んでいる主人公のケイトは、幼いころから悪いことが起こる妄想に取り憑かれており、パニック障害と閉所恐怖症の傾向があったところ、大学生になってから起きたトラブルのせいで、より一層やっかいなメンタルを抱えるようになっていました
そんなケイトの又従弟にあたるコービンはボストンに住んでいたところ、ロンドンに短期の転勤となったため、ケイトとコービンは6か月だけお互いの住まいを交換することになります
ケイトがボストンに到着してすぐに隣人の女性が殺されるのですが、果たしてそれはロンドンに行ったはずのコービンの仕業なのか
ケイトの凄惨な過去に加えて、コービンが過去にロンドン留学中に犯した大きな過ちが徐々に明らかにされていく過程がうまい
シリアルキラーの幼少期エピソードもクリエイティブでした
何より感心したのは、ケイトの妄想と思わせる描写について、後からしっかりとオチをつけていくところ
他方で、本書には極めてアンフェアな仕掛けがあるのですが、推理小説を読み慣れた者には直ちに見抜ける程度のものだったので、あまり気になりませんでした
前作と同じく、全編についてとにかく読みやすい点も素晴らしく(翻訳も優れているのでしょう)、早くも次の作品が楽しみです
ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫) 1,210円 Amazon |