大山誠一郎さんの「密室収集家」を読みました
2012年に出版された短編集です
5つの密室殺人事件は、それぞれ1937年・1953年・1965年・1985年・2001年に発生しているのですが、共通点はどこからともなく現れた「密室収集家」なる人物がいきなり謎をズバッと解決し、いつの間にかいなくなっているところで、その点では安楽椅子探偵ものになります
作品の内容としては、1編目はごく普通の密室もの
2編目と3編目は工夫が凝らされていますが、ちょっと強引
特に3編目はさすがに犯行があまりに唐突である上に、その後の都合もよすぎて、プロバビリティの犯罪と組み合わされてしまうとさらに無理を感じてしまいました
4編目は、警察にすぐばれてしまうような密室装置が施されていたのはなぜなのか?
「どうやって密室を?」ではなく「なぜ密室を?」を問題にしている点は非常に面白かったです
ただ、真相はいくら何でもちょっと強引すぎる気がします
ここまで謎の密室収集家が時代を超えて登場する話が続いてきている以上、5編目では当然そこをネタにした大仕掛けが期待されましたが、普通にフィニッシュ
密室収集家が犯人を指摘した理由こそ面白いものでしたが、その前提をなす話の設定がやはり強引すぎたかな
とはいえ、強引さと引き換えにした個性的な工夫は全編にわたって十分に楽しむことができました
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