白井智之さんの「そして誰も死ななかった」を読みました
いわずとしれたアガサ・クリスティの本歌取りなのですが、このテーマは今年立て続けに読んでいます(2019-08-06・2019-09-28)
前作(2019-01-24)で今年のミステリにおける最高傑作の1つを叩き出したと思われる白井さんは、果たしてどうアプローチするのか?
やはり特殊設定を使ってきた!
孤島に集められた5人のミステリ作家がバンバン殺されていくのに、彼ら自身が推理合戦を繰り広げるというのがまず面白い
特殊設定内でのロジカルな展開も白井さんの持ち味がしっかり出ていて個性的
時間の操作にはアッと言わされるし、横溝チックなトリックには爆笑
ホワイダニットもバカバカしくていいですね
多重解決にも冴えをみせており、クリスティーの本歌取り作品の中では最高レベルの1つだと思うのですが、あえて言えばここまで何でもありだと逆に作品自体のシンプルな驚きは本歌に及びにくくなる気がします
また、作風的に長編はやはり少しだけもたれます
個人的には、短編を積み重ねて思いも寄らないラストを見せつけた前作の方が好きですね
それだけ前作がずば抜けているということですが
もっとも、前作はちょっとアレなので、白井さんの作品を初めて読もうという方には本作がお勧めかもしれません
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