吉村萬壱さんの短編集「前世は兎」を読みました
戦争中であったり、謎の物質に汚染されていたりすることが示唆された行き止まりの世界の中で、神経を病んだ者が追いつめられていく様が描かれる作品が多いですね
暴力的であり、生理的嫌悪感を確信的に覚えさせようとする作風は、短編であればもたれることはありません
また、みせるテクニックを思いっきり駆使したような作品もあって、「沼」はちょっとラストがあざとすぎるかもしれませんが、「梅核」はなかなかのバランスでした
最後の「ランナー」も姉と弟を中心としたいびつな家族の姿が巧みに描かれておりよかったです
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