市川憂人さんの「ブルーローズは眠らない」を読みました
奇数の章で語られるストーリーと偶数の章で語られるストーリーは、どちらもほとんど同一人物といってよい名前と立場の人物たちが登場するのですが、微妙な差が感じられます
「実はこれらは違う人物なのです」というのが本作の核なのだとしたらおそまつすぎる、などと思いながら読み進めていったところ、さすがにそんなことはありませんでした
途中でその点はあっけなく明らかにされます
奇数の章で語られていたストーリーは、偶数の章で語られていたストーリーの1年半も前に日記の形で残されたものであり、偶数の章で現実に発生した殺人事件と似た事件(温室で博士が首を切られた状態で発見される)が描かれているというのです
その日記は山奥の家が火事になった際に焼け跡から偶然発見されたものなのですが、博士以外にも複数の人間が殺害されたことを示唆する内容であるにもかかわらず、現場には1つの死体もなかったとされます
偶数の章では、博士が遺伝子操作で青いバラを開発し、アマチュア園芸家の牧師がその直前に天然の青いバラを公開しているのですが、奇数の章の日記ではその1年半も前に青いバラが開発されていたという記載まであるというサービスぶりです
この島田荘司さんっぽい謎は非常に魅力的!
もっとも、解決編はもうひとつ
ちょっとアンフェアがすぎると感じられる手が使われていることもあって、トータル的にはそれほど評価できませんでした