中国停滞の核心 (文春新書)/文藝春秋
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著者はしばらく前の「中国が米国をGNPで追い抜く」と言われたころのバブル的な気持ちが中国政府の心理にあったと指摘する。
そのバブル的な気持ちが対外的に強圧的な態度の底に流れているのだろうという。
米国の専門家ルトワック氏などの議論を引用しながら分析する筆致は説得力がある。
ただ 後半部の安倍首相の靖国参拝への否定的な評価(もちろん国際政治での戦略的にまずかったという議論であるが、)には役人としての限界を感じる。また現在の日本人の中国への拒否感情をヒステリー的と評しているのは納得できかねるものがある。
また中国への拒否感情の中には日本の経済的、政治的な力の衰退に対する不安感があるという議論にも違和感を感じた。
官僚は無意識のうちに隣国との友好が目指すべき善だと考えているのではなかろうか。しかし 中国への警戒感はむしろ日本人が正確な認識を持ち始めと言えるのではないだろうか。
福沢の脱亜論への認識の高まりは中国は警戒すべき国だというリアルな事実に日本人が目覚めたと言えるのではないか。
最近は中国経済への悲観的な見方が報ぜられることが多い。
撤退で苦労する日本企業の話題も紙面に載る。
ただ 昔 中国進出を手放しで礼賛した有名な経済紙もあった。
マスコミは気楽なものだと思うこの頃である。