- 論文捏造 (中公新書ラクレ)/村松 秀
- ¥929
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この本はとにかく、とても面白いです。ゾクゾクするような面白さです。
10年程前 米国ベル研究所の事件ですが、あまりにも今回のSTAP細胞事件に酷似しています。
当時のベル研が置かれた状況や共同研究者たちが捏造を知らなかったことなど…
無責任なマスコミやタレントたちはともかく、いつもは辛口の批評をする人たちが 小保方氏に同情的なコメントをするのには 違和感を持っています。
この本では超伝導がテーマですが、シェーンという30代の研究者が世界的な研究をしたとされました。ネイチャーやサイエンスという雑誌に大量の論文が掲載されていきます。
ベル研、共著者、掲載雑誌の権威もあり、世界中から賞賛されます。当時のベル研が置かれた状況も理研と酷似しています。ところが世界中の研究者が再現をしようとするのですがすべて不可能。シェーンはベル研内で事件したのではなくドイツの母校で行ったなどと弁明。
研究者達は シェーンが何らかのコツを体得しているのではないかと考えたり
特別な実験装置を持ってい
幾つかの経緯でデータの捏造が明らかになるのですが、さらにシェーンの学生時代の捏造癖も問題になってきます。
この事件とSTAP 細胞事件の相違点は、①捏造疑惑が指摘される時間の違い:シェーンの場合は2、3年。②調査委員会の構成:ベル研は外部の世界的な著名な学者で構成。といったところです。アト 当事者が男女で異なることです。(笑) 私は この事件は知らなかったのですが、研究者たちにとっては周知の事件なのでしょう。
マルクスは 「歴史上の事柄は二度起こる。最初は悲劇として 二度目は喜劇として」と言っていますが、まさにその通りでしょう。
この本は2006年8月発刊ですが、著者はNHK の職員で、2004年10月にNHK でこの内容をドキュメンタリー放送しています。シェーンの事件でも多くの共著者がいましたが、だれもデータの捏造に気が付かなかったようです。各自のパートに専念していた為だそうで、実際科学研究が細分化するとこうなってしまうようです。
それでも著者は この研究チームのリーダー(ベル研の大ボス)は 当初はわからなくとも 成功実験が再現できないという声が出てきた時点で、不審に思ったはずで、その時適切な対応を取るべきだったのではないかと示唆しています。
更に 著者は いい加減な捏造論文を真に受けて(その中には具体的な実験の手順、ノウハウが記されていない)、真剣に再現実験をした人がいろいろ工夫して、成功してしまう可能性すらあるといいます。
その時 賞賛されるのは 何の根拠もない捏造論文の執筆者なのかと問題提起しています。
この事件で、当事者の理研を批判する識者のコメントが多いのですが、それとともにマスコミやタレントの一部に 結局 実験が成功しているかもしれない。成功していたら実験記録等の細かいことはどうでもいいと言った発言がありました。
何か 究極の悪しき成果主義という印象でした。この種の発言こそが問題に思えます。
るのではないか(“マジックマシン”と言う言葉がまことしやかに流れたようです。)と考えたりします。