預かりきれないできごとが
毎日、毎日とおりすぎていく



愛してる人がいる
彼女には家庭がある

子どもができた
相手は既婚者

父が死んでいた
1ヶ月まえに

母が居なくなった
散歩の途中で


平穏な毎日を望むぼくらを
許さないのは神か、悪魔か

幸せに生きたいと望むことは
罪か、権利か


数えきれない傷と
引きちぎれない鎖を
ひきずって歩く
だれもかれもが
不完全

みんな、たいしたことはない
あなたも私も、だいたい一緒

だから、笑おう

分かり合えるなら
あしたは明るい
どうでもいいことを
のべつまくなし
話す君

どうして大事なことは
いってくれなかったの

おかけでずいぶんときがたち
僕らは年を取った
年数を重ねるなかで
つまらない行き違いもあった

なんでもないといって
楽しそうに僕をみつめてる

どうして大事なことは
いってくれなかったの

単純に楽しくて
単純にいとおしくて
なくすわけにいかない
僕だけの
僕だけの、、、


悲しみを隠して
笑っていた君を

どうしてあのとき僕は
抱き締めなかったのだろう

もしまだ間に合うのなら
今日は飽きるまで側にいて
愛してると歌い続けるよ


わたしは
あなたを壊す
今にも

食べてしまう
かもしれない
あまりに
いい匂い

どうして
わたしを捕らえるの
まるで
触れと
言わんばかりの声で

愛してる
かもしれないけど
とにかくいまは
かじらせてよ
その
すました顔の
あなたの奥の
かじらせてよ
まるでいい匂い
 
そのままの顔で
新しいわたしを
意味も分からず
歓んでよ
一緒に
よろこんでよ

あなたがいたから
あなたがいるから

おもいきり
耳のうしろの
あなたの奥の
かじらせてよ
まるで
まるでいい匂い

今度は
わたしが
あなたを壊す

ハロー
新しい朝
眼鏡
はずして
ハロー、新しいわたし
ハロー、新しいあなた


歩いていく
ひとりで

てくてく、
てくてく

Give and Take
あなたから
何かを奪っていく
その行為を
愛というのだそうだ

惜しみなく
与え、
そして
奪っていく
その行為を
愛というのだそうだ

でも続くその先を
私はひとりで
歩いていく

なにも誰にも
与えてなんかない
ていく、ていく

ごめんね
なにもできやしない

ていく、ていく
生きていく
歩いていく
愛していく
息をしている

愛していく
それでも、たぶん
しずかに夜がふける
誰かの寝息も聞こえない
この部屋には
ひとりのわたし

あと何万回の夜を
こえていくのだろう
ひとりで
だれかと
あなとと
わたしと

からだの隅々まで
みちる
愛を知っていた

もう来ない
いまを
いつも探している

きのうがあしたで
きょうがきのうで…
ほんとは
きのうなんてない
果てしのない今が
つづくだけ


こっそりと朝がくる
誰かの気配は夢のつづき
この部屋には
ひとりのわたし

もう何万回の朝を
迎えてきたのだろう
ひとりで
だれかと
あなたと
わたしと

からだの隅々が
うまれる
喜びを知っていた

もう来ない
いまを
いつも忘れていく

あしたがきょうで、
きのうがあしたで…
ほんとは
あしたなんてない
果てしのない今が
つづくだけ


あと何万回の朝を
迎えられるだろう
いのちと
愛と
あなたと
わたしと



きみは
隠す
本当の名前を

私は
たずねない
きみの
ほんとうの名前を


だけど

聴こえてしまいそう
壊れそうな
うすくて
透明な
殻の向こうで
呼んでほしいと
名乗るきみ


どうしようもない
どうしてみようもない

きみと
私の

きみと、
私の。


本当の名前を知られたら
本当に名前を呼ばれたら



呼んでしまいそう
生まれたての
やわらかくて
恥ずかしい
殻の向こうで
呼んでほしいと
名乗るきみ


きみの、名は






何度も夢に出て
何か言いたげに
うつむいていたあなた

気のせいであってほしいと
やっと思えた




あれは

私が見たかったあなたの
あなたの姿

私に何か、言うことある?
と、
問いかけたかったのは私




全てが気のせいであってほしい


どうか、元気で

私が届けてしまった
あなたにはもう
世界が終わっても
読めない手紙


全ては過ぎたことだから
これからの
全てがあなたを癒していく
新しい季節
新しい景色
変わらない愛

大丈夫だよ
あなたはうんと
愛されている



さようなら、
あの日の私の痛々しい心
さようなら、
あの日のあなたのやるせない痛み


勝てなかったものがあって
それは
私の弱い心
あなたのずるい心

超えられなかった夜があって
それは
私の嘘と
あなたの真実


見たかったものだけ見えていたら
幸せだった?
私はそうは思わないよ

だから、ありがとう
どうか、元気で

愛していたよ
だれよりも
私のこの小さな世界の
何よりも

さようなら
どうか、元気で

強く風が吹いて
あなたが私をよぎる
ぐっと私の胸を掴んで
爪を立て
私の名前を叫ぶ

私の
涙の海は
あなたを癒すために

あなたの深い森が
涙を隠し
私を探して風が吹く

さまよう夜が
あなたを苛み
あなたは呼ぶ
いつまでも
私の名前を

私の海はあなたを待って
今日も静かに
月の光に
満ち満ちて

風の中に
あなたを
探している

いつでもあなたを
探している



今朝のゆめで
私を呼んだのは、だれ?

私はきこえないふりをする
あなたじゃない
誰かを受け入れられなくて

今朝のゆめで
私に謝ったのは、あなた?

私はきこえないふりをする
あなたのいない
これからを受け入れられなくて

どうせ死ぬから

この世に起こるすべてのことは
意味がないんだってさ

どうせ死ぬから
腹をたてたり
誰かを死ぬほど憎んだり
すべて
ぜんぶ
意味がないんだってさ

どうせ死ぬなら
楽しい毎日がいいでしょって
好きなことして
好きなだけ

どうせ死ぬんだから


それならもう
いっそ生まれなきゃいいでしょって
どうして誰も言ってくれなかったのかな

そしたら
もう会えそうもない誰かを
死ぬほど愛すこともなかった

どうせ死ぬのは
分かってるよ
だから
命をかけて
愛したんだ

どうせ死ぬけど
今の私は
生きてるのか
死んでるのか