『死者たちのロッキード事件』猪瀬直樹 | 閉店SALEがそんなに長いわけがない

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タイトルとは無関係の極私的読書感想文

人々の記憶に深く残るような大きな事件には、主要な登場人物たちの影に、沢山の脇役たち(その多くは名もない人たちですが)がいます。そしてそうした脇役たちの中には、少なからず死体の役が割り振られてしまう人たちがいます。どんな死に方かは千差万別ですが、主役級の人物の派手な死に方と対をなすように、脇役は脇役なりに、事件に関わりを持って表舞台から姿を消してゆくのです。

今や歴史の一場面となり教科書でお目にかかるか、国会で良く騒ぐおばちゃんの父親が起訴された事件、ということぐらいでしか話題にならないロッキード事件もその例外ではありません。

今太閤・田中角栄の専属運転手やら、事件を発覚前に嗅ぎ付けたらしい新聞記者やら、事件の渦中に疑惑をもたれた関係者宅にセスナ機で突っ込んだという男優さんも含め、色とりどりで実に華やかです。

彼らの死にはそれなりの物語が付与されていて、疑惑について知りうる立場にいたから消されたとか、義憤を感じて国のために散ったとか、それはそれは興味深いサイドストーリーがあります。

ほとんどの脇役たちは、その舞台に出演することを望んだわけでもなく、迷いこんだという言い方が適切なような気がします。改めて大事件が持つ磁場の強さを感ぜずにはいられません。