大宮BL小説です。
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先にこちらをお読みください♡
いよいよ本日最終回です
和也 45
大きな手のひらが、僕の手を包む。
サトが手を握っている。
ただ、それだけなのに…
温もりや感触があまりにも、ずっとなぞり続けたサトのものだったから…
もう我慢することができなかった。
しゃくりあげる。
ひっく、ひっく、とひきつけるほどに。
僕は呼吸すらままならないほどに、泣きじゃくった。
不意に、くい、と…
腕を引かれる。
ぐちゃぐちゃの顔は、何かにぶつかり…
ぎゅっと、包まれた。
何度となく閉じ込められてきた、サトの胸の中。
そこは、変わらず温かで…
どうしようもなく懐かしい匂いがした。
昔みたいに…
ポンポンと、背中に一定のリズムを刻んでくれる。
サトの鼓動。
愛しい人の、生きる音。
一番聞きたかった音。
それをもっと感じたくて…
僕はサトの胸に縋った。
帰るところがないとはどういうことか、と聞かれたから…
王室離脱の話をする。
智「なんでそんなこと…」
和「僕が僕でいられる場所を求めて…だから」
智「じゃあ、そこに行けよ」
和「だから…いる、ここ、サトのところに…」
明らかにサトから困惑した空気を感じて…
涙がまた溢れ出す。
でも、必死に言葉を紡いだ。
和「サトが僕に…」
「息の仕方も、眠り方も、食べ方も」
「人を思いやる気持ちも」
「…愛する気持ちも//」
「…生きること全て…」
「全部、僕に、返してくれた」
和「人形だった僕を…」
「今の僕に導いてくれたのは…」
「サトなんだよ…」
智「…」
和「その今の僕が」
「サトのそばにいたいって」
「…アンタのそばしかないって、言ってる」
和「本当に、僕が、僕らしく…」
「息を吸って、生きていけるのは…」
「…サトの隣でだけだって」
和「…だから…」
「だから、僕は…」
「ここに、いたい…」
無理って言われたらどうしよう。
もう別の世界があるって言われたら…
もう必要ないって言われたら…
そう思うだけで、言葉尻が小さくなる。
すき…
すきなんだ…
アンタのそばに、ずっと、ずっと、いたい…
泣いて喚いて、みっともなく縋りついてでも…
さっきまでそんな風になりたくないって思ってたはずなのに…
やっぱり、思ったとおり。
恋愛なんて、厄介だった。
恋のめんどくささを自分が体感するなんて…
思ってもみなかったな…
はぁ…
と…
小さなため息が耳に響いて…
ビクッと身体が震える。
ぎゅっと拳を握った。
智「お前…俺がせっかく離れてやったのに」
智「…覚悟できてんだろうな？」
わけのわからない独り言を吐いたサトはそう言って…
僕の瞳を覗き込んだ。
ゆっくりと…
サトの顔が近付いてくる。
そのまま…
唇が、重なった。
何が起きたかわからないまま…
目の前のサトを見つめる。
あの日触れたいと願った唇が…
長い歳月を経て、僕の唇に降ってきた。
それは僕の思考を停止させるには充分すぎるくらいの…
衝撃的な出来事だった。
智「おまえ…キスするときくらい目閉じろよ」
笑ったあとサトは…
小さく、言った。
智「俺はずっとしたかったんだよ」
もう一度…
重なる唇の向こう。
瞬きを忘れた瞳の端に…
幼い頃に見た両親の姿が見えた。
不意によぎった記憶。
仲睦まじく、キスする二人。
何でそんなことをするのか…
その頃の僕にはよくわからなかったけど…
ああ…
ひょっとしたら、二人は…
こんな気持ちで、キス、してたのかも…
刻みたかった唇の感触を、サトが刻んでくれている。
“ずっとしたかった”
その言葉が嬉しい。
僕もずっと…
こんな風に、したかったんだ…
ちゅ、と、唇から漏れた音。
気配が離れたことで…
不意に我に返る。
目の前にある、サトの顔に…
一気に気恥ずかしさが湧き上がる。
僕は…
それを護摩化すように、怒鳴って言った。
和「…って！ちょっと！」
「なっ、なんなのっ！」
「ひっ、久しぶりに会って」
「こっ、こんな、急にっ//」
キャンキャン吠える僕を、一瞬にして…
サトは腕の中に閉じ込めた。
智「…覚悟、あんだな？」
そう問われたから。
和「…言っただろっ！？」
「ここにいたいって！」
「言っとくけど今の…」
「ファーストキスだったんだからなっ//」
照れ隠しの罵声。
サトはそんな僕に…
見たことのない甘い笑顔を、見せてくれた。
こちらで和也sideは完結です！
お付き合いありがとうございました
本日18時
蓮さん家(智サイド)
で大ラスです！！
ぜひぜひ
お付き合いくださいー！！
あとがきは
本日20時アップでーす