民法第1問 | 旧司法試験から予備試験、司法試験へ

旧司法試験から予備試験、司法試験へ

『花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方』~THE BLUE HEARTS「情熱の薔薇」

【民法第1問】

第1 小問1について

(1)AB間には本件機械の売買契約(555条)が成立している。売買契約は諾成契約であるので意思表示だけで成立し、契約とともに本件機械の所有権はAからBに移転している。

(2)しかし、Aはこの契約を債務不履行により解除(541条)している。解除の効果として、契約ははじめから無かったことになる(5451項)。よって、本件機械の所有権はAに属することとなる。

(3)ただし、同条は但書で「第三者の権利を害することはできない」と規定している。CはAB間の契約に基づいて新たに賃借関係に入った第三者であるので、AはBとの契約解除をCに対抗できないようにも思われる。

(4)しかしながら、Cは本件機械の単なる賃借人であって、所有者であるAに対抗することはできない。よってAはCに対して、所有権に基づき本件機械の引き渡しを請求することができる。

第2 小問2について

1.AC間について

(1)AがBとの契約を解除する前に、BはCに対する賃料債権をDに譲渡しているが、これはAとは無関係になされた契約である。

   また、問題文には、Cが本件機械に有益費を支出した等の事由も見られない。

(2)したがって、基本的には小問1と同じく、AはCに所有権に基づき本件機械の引き渡しを請求することができると考える。

2.CD間について

(1)Bが譲渡したのは未だ来ていない期間を含む1年間の将来債権である。将来債権の譲渡が許されるか問題になるが、将来債権であっても内容が特定できれば譲渡できると考える。

   本問で譲渡の対象になったのは、本件機械を目的物とする月額100万円の賃料債権であって特定されている。よって本件将来債権譲渡は有効である。

(2)単なる通知の場合


 ①債権譲渡については、譲渡人(本問B)が債務者(本問C)に単なる通知をした だけであれば、債務者は譲渡人に対して生じた事由を譲受人(本問D)に対抗することができる(4682項)。そして、ここでは、債務者が譲渡人との間の契約で対抗できた事由も含まれる。

 ②本問では、AがBに債務不履行解除を行い、Aが引き渡しを請求する時点でBのCに対する本件機械の賃貸義務が履行不能となる。このため、それ以降CはBに賃料を支払う必要はない。

 Cはこの抗弁を譲受人Dに対抗することができる。よって、CはDに対して賃料を支払う必要はない。

 もっとも、解除以前の未払い賃料が残っていれば、それについてのみCはDに支払う必要がある。

(3)異議をとどめない承諾をした場合
   ①Cが異議をとどめない承諾をした場合には、CはBに対して主張できた事由をDに対抗できない。したがって、CはDに賃料を支払わなければならない。
   ②しかしながら、悪意重過失ある譲受人は保護に値しないので、この場合には対抗することができる。また、前述のように債務者が譲受人に主張し得る抗弁には、譲渡人と債務者間の契約に含まれる瑕疵に基づく抗弁を含む。

   よって、DがBの債務不履行について悪意重過失があれば、CはDの請求を拒むことができる。  以上


【感想など】

・非常につかみ所がない問題。

・まず、Cが解除前の第三者に該当するかで相当悩む。悩んだ結果、より安全と思われる筋を選択した。(結果的には受験生少数説)

2006論文で問題1パニック、問題2他人物賃貸を無権代理と読み間違いをする大失敗をしたので、とにかく無理しないことを心がけた。

・最後のところ、確か異議を留めない承認でも、双務契約上の契約代金の債権譲渡の事例(未完成請負代金)で、譲受人悪意を擬制した判例があったと思う。賃借権で片務契約だけど、将来債権だから利益情況が似ているように思う。賃料の将来債権だとDが知っていれば、異議無く承諾していても対抗できそう。

・もっとも、はたして問題文から異議無き承諾書く必要があったのかどうか、よく分かりません。

・約55行。再現率95%程度