商法第2問 | 旧司法試験から予備試験、司法試験へ

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【商法第2問】

第1.小問1について

1(1)株式会社は、株主名簿を本店に備え置かなければならず(1251項)、株主は「いつでも」「閲覧」の請求ができる(同条2項)のが原則である。

(2)しかし、株主名簿の閲覧を自由に許すと、例えば総会屋が株主に不当な圧力をかけるなどの問題も生じ得るので、一定の場合に制限を加えることには合理的な理由があり、その事由が同条3項に列記されている。

   本問では3号が問題となる。

2(1)12533号は、閲覧請求者が当該株式会社の業務と「実質的に競争関係にある」事業を営んでいる場合には、会社は閲覧を拒否することができるとしている。そして、乙会社は甲社と事業上の競争関係にある丙会社の70パーセントの株式を有しているので、「実質的に競争関係がある」と言える。そこで、甲会社はこれを根拠に閲覧を拒否できるとも思える。

(2)しかし、閲覧請求は株主としての権利を行使するために重要であるので、閲覧制限は安易に認めるべきではない。そこで、「実質的に競争関係」にあっても、株主としての正当な権利行使に必要な場合には、閲覧拒否できないと解する。

(3)本問の乙会社は株主提案権を行使しており、その提案内容を他の株主に事前によく伝えるために株主名簿の閲覧請求を行っているものである。また、株主提案権は形式的になりがちな株主総会を活発化するためにも意義がある。よって、乙会社は株主としての正当な権利行使のために閲覧請求しているのであるから、甲会社は乙会社の請求を拒否することはできない。

第2.小問2について

1.第三者割当てについて

(1)甲会社は丁会社のみを引受人とする募集株式の第三者割当発行を決議しているが、これは許されるか。この募集株式の発行が乙会社の比率を低下させることを目的とした「著しく不公正」なものであって、「不利益を受けるおそれ」があれば、乙会社はその差止を求めることができるので問題となる(2102号)。

(2)まず、丁会社のみに発行している点はどうか。募集株式の発行に当たっては、会社の資金調達の必要性が優先されるため、株主は当然には割当権を有せず、会社は第三者割り当てを行うこともできる(202条1項)。

そして、丁会社への割当は、既に業務提携契約を締結していた同社との関係を強化するためのものであって、合理的理由がある。したがって、甲会社が丁会社のみを対象にして第三者割当発行を決議したこと自体には違法はない。

(3)また、募集株式の発行は、高度な経営判断に基づき、的確・迅速に行われる必要がある。そこで、募集株式の募集事項の決定は、取締役会設置会社(※公開会社の間違い)では取締役会で決定することとされている(1992項、2011項)。本問では臨時取締役会が開催されており、この点に問題はない。

(4)さらに、価格については市場価格の90%としているが、これは有利発行に当たらないか。有利発行に当たれば株主総会の承認が必要である(1993項)が、市場価格の90%であれば特に有利な価格には当たらない。

(5)以上のことからすると、丁会社に対する第三者割当の決議そのものについては、「著しく不公正」であるとは言えない(※1号該当性については触れず)。

2.株主平等原則違反について

(1)そうだとしても、払込期日を株主総会の開催日の1週間前の日とし、さらに議決権行使の基準日を、この株式に限り効力発生日の翌日としたことは、株主平等原則(109条)に違反しないか。

(2)株式会社は、株主を株式数に応じて平等に取り扱わなければならないところ、問題文によれば乙会社、丁会社とも甲会社の株主である。

ところが、本問では丁会社に与える株式を株主総会開催に合わせて効力を有するものと決議している。このため、丁会社は他の株主に比較して、株主総会において有利に多くの議決権を行使できることとなり、株主平等原則に反する。

(3)このことと、結果的に乙会社の持株比率が15%に低下するとともに、丁会社のそれが45%に上昇することを総合的に考慮すると、本問の丁会社への第三者割当発行は、「著しく不公正」なものと言うことができる。そして、乙会社はこのことによって「不利益を受けるおそれ」がある。

  よって、乙会社は甲会社の丁会社に対する募集発行が2102号に該当する「著しく不公正な方法で行われる」場合であるとして、差し止めを請求することができると考える。以上


【感想など】

・新株は近年出題されたはずだったので、勉強しませんでした。やばいです。

・株主平等原則を書くこと自体が嘘くさい上に、法律違反なのに2101号じゃなくて2号もまずい。

・商法は2問とも典型問題との世間(2c)の噂だし、やばいなー。

・約75行。再現率95%程度