『感覚処理感受性とソーシャルスキル、精神的回復力の関連性の検討』
赤城 知里 中村 真理
[この論文の目的]
感覚処理感受性が高いがゆえに生きにくさを感じているされる感覚処理感受性の高い人(Highly Sensitive Person:HSP)について、ソーシャルスキルと精神的回復力の側面からどのような困難さを抱えているのか検討する
[感覚処理感受性とは]
Aron“生得的な特徴であり、感覚器自体ではなく感覚情報の脳内処理過程における基本的な個人差である。15%とされる感覚処理感受性の高い人(HSP)は些細な刺激に敏感であり、刺激過剰になりやすく、新奇刺激に対し次の行動を決める前にこれまでの経験と照合し、確認する傾向がある“
●感覚処理感受性の高さと抑うつや不安の高さ、シャイネス、自己効力感の低さ、疎外感、否定的情動、ストレスの高さなどとの関連が報告されている
[例]
・感覚処理感受性が高いと、刺激を受けた時、神経が迎える遮断点である超限界抑制により早く達するため、音や光、痛みなどの様々な刺激に圧倒されやすい
・知覚処理が敏感な人は、他者の情動に強く影響される。その結果、ささいな変化や他者の感情に気づきやすく、生得的に傷つきやすい特性を持つ
・その敏感さによって、ストレッサーを苦痛と感じやすいため、抑うつ気分を抱きやすく、自尊心も低い傾向にある。そのため、悩みやすく、自信が持てない傾向がある
[感覚処理感受性が高いことのデメリット]
・相手とすぐに打ち解けることが困難である
・感情を顔に出さず気持ちを統制することが難しい
・HSPの中でも諸々な外的刺激を不快に感じることが多い人は、HSPではない人に比べ、新しいことにチャレンジしたり、感情をコントロールしたり、未来を肯定的に見ることが困難である
HSPであることは確かに
刺激に敏感であったり
他者の情動に敏感であったりと
外的な刺激に対して敏感に反応してしまうというデメリットがあり
それらの敏感さゆえに
自尊心が低くなってしまったり
悩みやすかったり
様々な苦悩を抱えてしまうということが否めない。
しかし、「順応的敏感さ」を高めることができると
その敏感さを生かすことができる
ということが示唆されている。
[「順応的敏感さ」とは]
「自分に対して誠実ですか?」「豊かな内面生活を送っていますか?」など、順応的な内容の項目
↓順応的敏感さが高ければ訪れるメリット
・ソーシャルスキルは高く、自分の意見を主張することに問題がない
・相手の感情を解読する力が優れている
・表情豊かに表せる
・精神的回復力は高い
・新しいことにチャレンジしたり、未来を肯定的に見ることができる
↓つまり
感覚処理感受性が高くても順応的敏感さを育てていく活動、例えば香り・味・音楽・芸術面に意識的に触れていくことが有益である可能性が示唆された。また、好きな音楽を聴く、おいしいものを食べる、好きな香りに包まれる、芸術鑑賞するなどは、一般的にストレスコーピングに用いられる要素であり、感覚処理感受性が高いがゆえにこうした順応的な刺激にも影響を強く受けやすいことが考えられる
HSPは、ソーシャルスキルの「感情統制」と、精神的回復力の「感情調整」に困難さを持っている。一方で、ソーシャルスキルの「解読」に関しては高いことから、自身の感情をコントロールすることが困難であるにもかかわらず、相手の感情をつかむことに長けている。つまり、他者の感情刺激を敏感に受け止めているにもかかわらず、自身の感情をコントロールすることが困難な為、生きにくさをかかていることが推察された。
感受性が高いからこそ
よい環境に身を置くことは
よい刺激を受けることができて良いのだろう。
私も嫌な香り・味・音に圧倒されて辛くなってしまう一方で
好きな香り(好きな人の匂いを嗅ぐと安心する)を嗅いだり
欲するものを食べたり
心地よいと思える音楽を積極的に聞いたり
心地よい声の人と会話をしたり
そういうことを選べるような環境に身を置くことができれば
私も安定して生活できるように思う。
また、「相手の感情をつかむことに長けている」という点を長所として
友達や知人の悩みを多く聞いているHSPの人は多くいるのだろう。
私もかつて母のカウンセラーとなってきたり
心理学ゼミ内でのカウンセリング実習をとても楽しみにしていたことを考えると
仕事においてしたかった
「人の話を聞いてあげたい」という思いは
これからも持っていようと思えることになると思った。