デッサン(ハッチング) | 唄のイラストブログ

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 こんにちは。十二月になってしまいました。今年もいよいよラスト一か月というわけですね…今年やりたくて出来なかったことが色々ございまして、ラストスパートを、と思っていたのですが、相変わらず体調が優れません。一年の疲れも出てくる頃かなと思いますし、少しスローペースで、回復に専念しようかなと思い始めました。
 ともあれ、周りの人たちのおかげでなかなか充実した一年でした。また年末ごろに改めて振り返ってみようかなと思っております。

 前回に引き続きデッサンの私的な始め方、今回は「ハッチング」を通した「鉛筆の使い方」のお話。


 まず、今回使う道具を揃えます。まず、鉛筆、そして画用紙、あとは練りけしが手元にあれば使います。練りけしの代用に消しゴムを使っても構いません。
 今回は、鉛筆に慣れるために「クロス・ハッチング」という技法を使って絵の地盤であるトーンを付けた画面を作成します。また難しい言葉が出てきていますが、順を追って説明させて頂きます。

 鉛筆の使い方の基本について。
 私がデッサンの勉強をしたとき初めに教えられたのは「鉛筆の削り方」です。美術で使う鉛筆は、常にとがらせておく必要があります。なぜか。基本的にデッサンでは、明暗を表現するために「線」を用いるからです。
 当然、尖った鉛筆のほうが細い線を引くことが出来ます。そして、基本的に鉛筆の芯である鉛はやや柔らかいので、紙に押し付ける力を強くするほど太い線を引くことが出来ます。
 そのため、常に一定の基準の線を引けるよう、限界までとがらせておくわけです。

 そこで、鉛筆を削るときにはナイフ(カッターナイフが一般的です)を使って芯をより細く、鋭く削るのが基本です。ただ、この作業、慣れないとなかなかうまく行かない上に刃物を使うので少し危ない。また、現在では普通の鉛筆削りでも割と鋭く削ることが出来るので、無理にナイフで削る必要はありません。始めは普通の削り機で鋭くすれば十分です。


 次に持ち方、これにも基本と言われる持ち方が多数あります。ここでは、普通に字を書くときのように持つ持ち方と、鉛筆の少し中ほどくらいの部分をグーで握る持ち方の二つが出来ればまず第一歩はクリアだと思います。大切なのは、力を入れ過ぎないこと(芯が折れたり手が疲れたり、紙の表面を傷めることを防ぐため)と、基本的に手を紙の上に置かずに鉛筆を動かすこと(手の腹で紙をこするのを防ぐため)です。
 特に後者のために重要なのが、手首や指先だけでなく、腕全体を使って鉛筆を動かすことです。手首だけを使って線を引こうとすると、短い線はともかく十センチを超える長い線をまっすぐ引くのが難しくなって来るためです。逆に細かい描き込みをするときは、ティッシュやナプキンなどを手の下に敷いて、一時的に手を紙の上に置いて作業します。

 とは言え、すべての絵描きがこの基本を踏んでいるわけではないので、今説明したようなことは頭のどこかに置いておいて頂ければ十分だと思います。一番大切なのは、自分が描き易い「型」を見つけること。


 そんなわけで、さっそく「クロス・ハッチング」に挑戦してみましょう。簡単に図解してみます。


 ご覧いただければ分かるように、この技法ではハッチング(線の集合)をクロス(交差)させてトーン(明暗)を表現します。先程も書きましたが、デッサンでは基本的に「線」で明暗や立体感を表現します。そのほうが鉛筆の硬度を活かしやすいためです。そのために、こうして線を違う角度で何重にも重ねることで陰影や立体感を表現するわけですね。
 初めはなかなか上手くタッチを重ねることが出来ないと思うのですが、失敗した部分はどんどん練りけしや消しゴムで消して、描き直して行きましょう。
 そして、画用紙全体にトーンがつくようにしてみます。


 ここで紙を手で持って肘を伸ばしたり、紙をどこかに立てかけて離れて観るなどして、紙を遠くから見てみます。すると、細部ではなく紙全体が目に入って来て、明暗の流れや全体の形などが良く見えるようになります。その状態で何度か紙を見返して、紙全体が均一のトーン(明暗、濃さ)になるようにタッチを重ね直してみてください。


 この状態でもまだまだムラがありますが、これくらいの「銀色(灰色)」に見えるトーンで全体を塗りつぶしてみてください。
 このとき、描き辛いなと感じたら、画用紙の向きを変えて描いてみてください。画用紙を描き易い向きにくるくる回しながら描くようにするととても描き易いと思います。
 これからデッサンをするときに、このグレーの下地を作っておくと何かと役に立ちます。それは、人間の眼の構造上、白い紙に直接描いて行くよりも暗い状態から白く抜いて行く(消しゴムで描く)ほうが明暗を掴み易いからです。
 B4ほどの画用紙上にこのトーンを付けた「画面(絵を描くスペースをこう呼ぶことが良くあります)」を作ることで、手の動かし方や鉛筆の持ち方にもすぐに慣れるでしょう。

 今回使った画面を使って、次回以降いよいよ立体を描いて行きます。


 今日も落書きを張り付けてみます。今回はなかなか肩のこる格式ばったお話でした。こうした時間と手間のかかる作業を踏むことで、長時間かけて絵を描く技術や忍耐が養われていくのですが、初めはどうしても退屈すると思います。
 そういうとき、思いっきりコピー用紙に好きな絵を描いて、それに描いた日の日付を入れて保存しておくと良いんじゃないかなと思います。後から見返したとき、デッサンを繰り返すほどに自分の絵を描く力が上がっているのを実感できると思います。