ニュートン力学やアインシュタインの相対性理論までを「古典」と呼び、それ以降の量子論の物理学が「現代」です。
古典と言うと、少なくとも300年以上は経っていそうな気がしますが、実際はまだ100年も経っていなかったりします^^;
では何を持って「古典」かそうでないのかが決まるのでしょうか?
キーワードは「確率」です。
古典物理学が「予測可能」というパラダイムだったのに対して、現代物理学はそれが覆されて「確率」のパラダイムとなりました。
ここでファインマン先生から引用です!
(引用開始)
ここで古典力学と量子力学のきわめて重要な相違点について強調しておこう。これまで、電子がある与えられた状況に到達する確率について話してきた。このことは、われわれの実験のやり方では(または、できうる限り最高のやり方であっても)、何がおきるかを正確に予測することは不可能であることを意味するものであった。ある事象のおきる見こみしか予測できないのである。
(引用終了)(ファインマン物理学 Ⅴ p.16)
「何がおきるかを正確に予測することは不可能」というのは、かなりインパクトのある言葉です。
予測不可能というのは、「条件が全く同じだったとしても、結果が予測できない」ということです。
「前提条件が全て同じなのに結果が変わる」というのは何とも言えない奇妙さを感じますが、実際にそうなのだから仕方ありません。
自然は「確率」しか教えてくれないのです。
例えばガラスに向かって、光子を斜めに飛ばすことを考えてみます。
光子はガラスを「通過する」か「反射する」かのどちらかですが、
もし全く同じ条件であれば、最初の光子が"ガラスを通過した"なら、その後に発射される光子も同様に通過していくような気がします。
前提が同じなら結果も同じであると考えるのが普通な感じがするからです。
でもそうはなりません。
実際は、あるときはガラスを通過し、あるときは反射します。
つまり予測不可能なのです。
分かるのは100個中4個はガラスで反射をして、残りの96個は通過するという「確率」のみです。
神様のサイコロ振りです。
再びファインマン先生より引用します^^
(引用開始)
まったく区別できない光子が、何個か同じ角度で同じ一枚のガラスに向かって下りてくるのに、結果が違うのです。だからある光子がAに行くのか(引用注:反射するのか)Bに行くのか(引用注:通過するのか)は予言できません。予言できるのは、100個の光子のうち平均4個はガラスの表面ではね返るということぐらいです。
(引用終了)(光と物質のふしぎな理論 私の量子電磁力学 p.27)
「予測⇒確率」というパラダイムシフトは大きな跳躍ですが、一度跳躍すれば物事はスッキリと見えてくるようになります^^
ちなみに、この肝心の「確率」を求めるには「確率振幅」を使うと計算できます。
(引用開始)
ある事象の起る確率は、「確率の振幅」とよばれている矢印の長さの自乗に等しい。たとえば0.4の長さをもつ矢印は、0.16あるいは16%の確率を表す。
(引用終了)(同 p.53)
「自乗」とは2回掛ける(乗じる)ということです。
例えば5の自乗は5×5=25になります。
「確率振幅」とは矢印のことでしたが、その矢印を足し算して、長さを自乗することで「確率」を求めることができます!
ということでサクッと「確率」で見る視点を獲得して、その目で世界を見ていきましょう(^-^)/
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東京と大阪での開催もお楽しみに!!
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