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文化の海をのろのろと進む

本、映画、演劇、美術、音楽など、ジャンルを越えて扱う雑食文化系ブログです。更新はマイペースです。雑誌を読む様な気持ちで楽しんで頂ければ幸いです。

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 うしずのです。

 

 さて今回はマンガ「ちらん」3巻の感想を書かせて頂きます。このマンガは鹿児島県知覧に実在した「富屋食堂」に残された実話をオマージュしているそうです。
 

 

 

「ちらん-特攻兵の幸福食堂-」第3巻 魚乃目三太 
[監修・取材協力]大島隆之 [取材協力]薩摩おごじょ・赤羽潤  [方言指導]東織絵
 ヤングチャンピオン・コミックス 秋田書店


 

 

 

 私、このマンガの2巻を読んだ後しばらく読む気になれませんでした。何故なら登場人物達に不幸が訪れるのは分かりきっていたからです。

 そして読みあぐねているうちに現実の世界でロシアがウクライナに侵攻し、テレビで戦争の映像ばかり流れて嫌になって、戦争物のマンガを読みたく無くなっていたのです。しかし終戦記念日も近いし読む事にしました。



 結果、やはり読んでいて、ちょっと辛かったですね。本当は死にたくないのに特攻隊に選ばれた青年も、自ら志願して、お国のためと信じて出撃する青年も、どちらも悲しいのです。


 また特攻隊として出撃したけど機体の故障等で生き残った隊員達が振武寮(しんぶりょう)という施設で「臆病者」「卑怯者」と罵られ、酷い扱いを受けたという異常な現実も描かれています。
 振武寮のウィキペディアによると滞在した人全部が酷い扱いを受けた訳では無いようなのですが、生存者の方々から、そういう証言は出ているそうです。

 

 

 

 


 自分には身寄りがいないからと特攻隊に志願した在日朝鮮人の金山さんのエピソードは不憫でなりませんでした。
 特攻隊員の中には朝鮮や台湾出身の方々もいたそうです。とても恥ずかしい事実だと思います。



 国が健全な状態であれば、未来を担う若者達に特攻なんてさせないんです。そんな時代が再び来ない様にしなければと改めて思いました。

 物語の構成が上手く、特攻兵達と彼等を取り巻く人々の人間模様が濃厚に描かれていました。
 辛いし恥ずかしく思う内容もありましたが読んで良かったと思います。





 「ちらん」1巻、2巻の感想はこちらです。
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 最後まで読んで下さり、ありがとうございました。