ゴルフ 男子ツアー最終戦。
JTカップ4日目最終日。最終18番ホール。
2017年の日本ゴルフ男子ツアーも、残すはパットのみ。
2位と6打差で首位を独走する宮里優作選手。
Par3の1打目をグリーンのせ、最後の勝負の場へ向かう。その道中には、「賞金王!」と少々フライングの声援も聞こえた。
決まれば優勝の、バーディトライ。
ストレートに傾斜を登ったボールは、カップ手前数十センチで、ピタリと止まった。
まだ同組2人のショットが残っていたからだろう。「最後に自分が打つ為に、わざと残したな」そのような声が、ところどころから聞こえた。
2位の選手との差があるからか。
ツアー最終戦、そして賞金王決定戦という場の緊張感は、グリーンの周りには無いように感じた。
むしろ史上初の選手会長&賞金王の誕生をワクワクしながら待つ雰囲気が、グリーンを取り囲む観客たちの間には漂っていた。
しかし何を隠そう、最終戦の優勝、そして賞金王を目の前にした当人の心情は、観客のそれとはいささか異なっていたようだ。
参加選手30名が72ホールをホールアウトし、残すは宮里選手のウィニングパットのみ。
宮里選手が構える。
"Be quiet"のスティックが、一瞬の緊張感を作り出す。
パターはボールに、触れるだけ。その音とともに、ボールがカップに吸い込まれる軽やかな音が、快晴の空にこだました。
観客が沸こうとした、その瞬間だった。
優勝を決めた宮里選手が、両手で顔を覆い、溢れる涙を拭った。
優勝を確信していたことには間違いないだろう。
しかし、自身初の賞金王を獲得するための闘いに臨む緊張の糸は、優勝を決めるその瞬間まで、切れることはなかった。
「泣いてくれたな。」
僕の隣で観戦していた年配の男性は、暖かい目で、宮里選手を見つめていた。
初の賞金王を決めた宮里選手を囲むギャラリーも、万雷の拍手で彼を讃えた。
今年は妹の藍さんが、引退した。
そして宮里家のお父さんが、体調を崩した。
ゴルフ一家の次男、そして自身も父親、選手会長という様々な立場を背負っての今シーズン。
逆転賞金王という、最高の締めくくりで終えた。
僕にとっては、初のゴルフ観戦。
これほど刺激的で、緊張感があって、感動を覚えたスポーツも、多く無い。
あのコースに漂う独特の雰囲気は、他のスポーツでは味わうことは出来ない。
選手がショットを打つ前の、異常とも言える静けさと緊張感。良いショットが出た時の、盛り上がり。
純粋に、ゴルフ観戦が好きだと思った。
初のゴルフ観戦がツアー最終戦という贅沢さには目をつぶってもらいたい。
しかしながら、宮里選手をはじめとするトッププロのプレーには、いやぁ...魅せられたなぁ。