「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」 -32ページ目

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です、

 

歴史シミュレーションその13

 

 

雨が「敵」を鈍らせる

 

織田陣。

 

左翼の浅瀬に集中する鉄砲隊は、


三度目、四度目の射撃を続けていた。

 

火蓋の布は雨で重くなり、
火薬を守る手は疲れ、


銃床は濡れて滑りやすくなっている。

 

「弾を節約しろ!
 撃ち続ければ、

火薬が尽きる!」

 

勝家の怒声が飛ぶ。

 

しかし、前線では「目の前の敵」に対応

するほうが優先された。

 

一揆勢は、一度撃たれても引かず、


 

倒れた仲間の後ろから、別の者が前へ出る。

 

「……こいつら、止まらん」

 

鉄砲隊の兵が呟く。

 

その視線が、左翼に釘付けになったまま、
右側

 

砂州の陰で進む上杉本隊の渡河には、


気づく余裕がなかった。

 

やがて、浅瀬の水音に混じって、別の音が増え

始める。

 

馬の蹄が水を叩く音。
甲冑が水を抜きながら

動く鈍い音。

 

「右だ!」

 

誰かが叫んだときには、もう遅かった。

 

上杉の「橋頭保」

 

九頭竜川の右岸。

 

砂州の裏側から、次々と上杉の兵が上がって

きていた。

 

まずは、越後の歩兵。
続いて、越中の槍。


 

その後ろに、騎馬武者。

 

「ここを“橋頭保”にする」

 

謙信は、馬から降り、
濡れた地面に足をつけた。

 

「この一角を押さえれば、
 

川のこちら側に“足場”ができる」

 

橋頭保。

渡河戦において、最初に確保すべき地形。


狭くても、深くてもいい。


ただし、失ってはならない場所。

 

「ここから、広げる」

 

上杉本隊が、砂州の陰に陣を張る。

 

鉄砲隊が後方に並び、
槍隊が前面に立ち、


騎馬隊が左右に控える。

 

川のこちら側に、
上杉の「小さな陣」ができあがる。

 

左翼の浅瀬では、一揆勢がまだ騒ぎを続け、


織田鉄砲隊はそちらへの対応に追われていた。

 

しかし、やがて彼らも、「別の音」に気づく。

 

砂州の向こうから聞こえる、
低く重い、

規律のある足音。

 

「……渡ったのか」

 

柴田勝家が、川の右岸を見た。

 

そこには、まだ大軍と呼べるほどの数は

いなかった。


しかし、陣形は整っていた。

 

「橋頭保を作りおったか。
 あそこで踏みとどまれば、
 

全軍が渡るまでの時間稼ぎに足りる」

 

勝家は歯噛みした。

 

鉄砲と騎馬が「組む」瞬間

 

上杉陣から、短い合図が飛んだ。

 

鉄砲隊、前へ。

雨は、まだ止まない。

火蓋の布は重い。

 


しかし、ここではさっきまでのような

「的への乱射」は

行われない。

 

「的は、動いてくる」

 

鉄砲隊の頭がそう言い、
銃身を少し高めに構えた。

 

対岸の織田陣から、歩兵が前進を始めていた。


橋頭保を潰すために、
川岸の狭い範囲に

兵力を集中する。

 

その瞬間を、上杉側は待っていた。

 

「今だ」

 

乾いた音が、九頭竜川の右岸に響く。

雨の中でも燃えるように守られた火薬が、


ここぞという一瞬にだけ使われていく。

 

織田側の前列が崩れた。


橋頭保へ向かう足が、数歩分、遅くなる。

 

そこへ ―騎が走った。

 

 
ご精読ありがとうございました。
 
懐中温泉