道後の起源とは | 「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です、

 

ペン先が滑るように動いていきます。

 

 

有馬では、「遠くへ来た実験者」として湯治を

していた。

 

慣れない坂道、初めての金泉・銀泉、

灘の酒、初対面の佐和。

 

そこには、どこか「旅人としての緊張」が常に

まとわりついていた。

 

道後では、おそらく、その緊張の一部が

薄れます。

 

「湯治の形式として、“遠くで自分を変える”

有馬と、“近くで自分を確かめる”道後

を対にしたい。」

 

そんな言葉が浮かび、結はそれもメモに

書き足しました。

 

ふと、佐和の顔が頭に浮かびます。

 

「道後、行かれるんですか?」

 

そう尋ねられたとしたら、自分はどう答える

だろう。

 

「有馬で三回りやってみて、身体の“平常”が

見えてきたので、次は別の地の湯で、

その平常がどう揺れるかを見てみたいんです。」

 

「それなら、古代からの記録があって、

自分にも地理的に近い道後が、

いちばん自然かなって。」

 

言葉にしてみると、道後行きの理由は、

思っていたよりもすっきりとした線を

描いているように思えました。

 

結はノートの端に、小さくカレンダーを

書き込みました。

 

「道後・試験的一回り湯治 候補時期—」

 

具体的な日付はまだ書きません。

 

ただ、「一回り七日」という文字だけを、

 

ゆっくりと書き加えます。

 

有馬での二十一日間が終わったばかり

の今、すぐに次の湯治に出るわけ

ではありません。

 

それでも、「次に行くとすれば道後だ」

という細い線が、ノートの紙の上で、

すでに引かれ始めている。

 

結はペンを置き、椅子の背にもたれました。

 

有馬の金泉と銀泉の匂いが、まだ

身体のどこかに残っています。

 

その上に、これから訪れるであろう

道後の湯の匂いと空気が、いつか

重なってくる。

 

そのとき、自分のノートのページはどんな

ふうに埋まっていくのか

 

その予感を、静かに楽しみながら、結は

「道後」の二文字を、もう一度だけ丁寧に

なぞりました。

 

道後温泉の「発祥」は、実際には一つの

出来事というより、「伝承」と「古代文献」の

層が重なって形づくられています。

 

神話・伝承のレベルではどうでしょう。

 

代表的なのが「白鷺伝説」です。

 

傷ついた白鷺が岩間から湧く湯に脚を浸し、

やがて飛び立つほど回復したのを見た村人が、

効能を知って利用し始めた、というものです。

 

同じ構造の話は全国の温泉にありますが、

道後では「動物が見つけた霊泉」という

語りが、発祥の象徴になっています。

 

これとは別に、「少彦名命(すくなびこな

のみこと)」や「大国主命」が病を癒やす場

として温泉を用いた、という神話系の伝承も

あります。

 

道後は早くから「神々も湯治した場所」と

して語られてきました。

 

「伊予温湯(いよのゆ)」として知られる

道後の湯は、『日本書紀』に登場します。

 

たとえば舒明天皇や斉明天皇が「熟田津

(にきたつ)」の地を訪れ、伊予温湯に行幸

した記事があり、「天皇がわざわざ赴く温泉」

として早くから位置づけられていました。

 

失われた『伊予国風土記』の逸文にも、

「伊予温湯」の成因と霊験を語る記事が

伝わっています。

 

「海から湧き出る湯」

「潮と湯が混じる場所」

 

といった描写が後世の資料に引用されて

います。

 

このように、道後の「発祥」は、神話的な

「神や動物が最初に見つけた霊泉」

古代国家レベルで認識された「伊予温湯」
という二つの層で早くから言語化されています。

 

日本の温泉の中でも特に古い記録を持つ

場所とみなされています。

 

中世〜近世での「発祥」の再解釈はどうか。

 

中世以降の縁起・寺社関係文書や温泉記

では、「古代からの霊泉である」という点が

繰り返し強調されています。

 

そして、「発祥の地=古い権威」の証拠として、

神話と『日本書紀』の記事が再利用されて

いきます。

 

 
ご精読ありがとうございました。
 
懐中温泉