キスしたら、結婚しなくてはならない | 「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

「中年の危機」に陥った、ごく普通の50代男性が、3日・2週間・1ヶ月の3段階で人生をやり直す、潜在意識活用システム 真「幸せの時間」

潜在意識の働きで、あなたは「スーパーなあなた」になるのです。そのための素材・方法も実はあなたの手元にすでに多くあります。ここでは、あなたがそれを見出し、活用するお手伝いをいたします。胎児(あなた)は、胎児(あなた)の夢により進化します。

懐中温泉です。

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心より感謝いたします。



キュンキュンキュン....


大きな、真っ暗な邸宅の
長い回廊で、
セキュリティ・アラームが
けたたましく鳴り響きます。


イギリスの英会話学校で
同級だった女性は、
北西イタリアの都市近郊に
屋敷を構える歯科医の娘さんでした。


彼女からは、私に
イタリアに来たら寄ってほしいと、
親しみをこめて言われていましたので、
訪れました。


留学最初のクリスマスと、
その翌年の夏、2ヶ月以上の
ヨーロッパ滞在で鉄道によるイタリア周遊の途中と、
2度寄宿しました。


彼女のいる街はブレッシアという、
ルネサンス期以来、イタリアでは
都市国家が多数形成された中の
1つの街でした。


その屋敷は、土地の名士として
長らく続く家系にふさわしい、
立派な邸宅です。


都市近郊の農村地域にあり、
抱える農場は皆小作に
出していたでしょう。


どこまでが庭で、
どこからが畑なのか、
よくわからないくらい広壮でした。


屋敷の形は、
古代ローマ時代以来の伝統を
踏襲するものでした。


ペリスタイル(peristyle)
というのでしょうか。

屋根のない広い中庭を、
空中からみれば、
ほぼ正方形の形で
囲んでいました。


中世の状況を
忠実に再現した
オリビア・ハッセイ主演の
『ロミオとジュリエット』

そこで描かれる屋敷を、
少しばかり小規模にした建物
という感じです。


こういう邸宅ですので、
使用人が何人もおり、
滞在客もしょっちゅう来ていました。


私が4・5日滞在しても、
なんら問題はなかったのです。


こういうところですので、
何を土産にしても
大したことはありません。

が、日本風のかわいい
デザインの風呂敷と扇子を
お土産に持って行っています。


屋敷のスタイルは
古代ローマ時代風で
古いです。

が、セキュリティ・システムなどは
最新式のものを取り入れていました。


私はそれにひっかかったのです。


なにしろ、基本的に真っ暗で、
慣れない広い屋敷を
文字通り手探りで歩いています。


彼女の部屋に比較的近い
シャワー室とトイレで
用足しをし、出る方向を間違えた

ところを赤外線センサーか
何かにひっかかったのでしょう。


けたたましくアラームが
鳴り響きました。


ちょうど、その直前に、
ふと、宮本常一の
『忘れられた日本人』「名倉談義」
の夜這い

そのくだりを
ふと思い出したのは、
これの予兆だったのかもしれません。


たちまち、彼女自身と、
ご両親とが現れ、
私であることを確認すると、
アラームをとめました。


まずは私は夜半に騒音で
ご迷惑をおかけしたことを
謝罪しました。


そして、
なるほど、お嬢さんをお守りする
システムはこのように作動するのですね。
と感心して言いました。


もしかして、
私が彼女に夜這いを
しかけたのでは、と思われているのでは、
と確認する意味もありました。


ところが、
基本的に善人であるご家族は、
私を日本からの紳士である、
と信じ込んでいます。


そのため、
単なる間違いである、
と捉えてくれました。


とくにお父さんは
そのとき目の調子が悪く、
歯科医としての業務を休みがちでしたが、
苦労人である様子で、


「いや、君をプロテクトするための
システムなんだよ」

と冗談にしてくれました。


もちろん、私は、
彼女に夜這いをかける気持ち
などさらさらありませんでした。


彼女は、身長170センチを越す、
大柄の身体の持ち主でした。


ファッション・モデルに
なるにはいささかお尻が大きすぎる、
という感じでした。


しかし、
イタリアの古来からの基準では、
ゴージャスな美人、
となる容貌です。


彼女は、家業である歯科医を
つぐことを求められていました。

しかしながら
そもそもあまり歯科医になることに
意欲を見出せず、学業がその方面では
うまくなかった、と言います。


家は弟が継ぐとしても、
地方の名士の娘として、
家格のつりあう伴侶を
求めねばなりません。


日本の家と多く通ずる点もあり、
また、私自身の置かれていた
男女交際の状況なども話し、
よく理解してもらっていました。


お見合い制度がまだまだ機能し、
要するに、

手を握ったら結婚しなくちゃならない、

という信念が
信念としてはいまだに存在する。

そういうように
当時の日本の結婚事情について
説明しました。


彼女は、ここでは、
カトリックが強いので、
彼女もカトリックである、
と言います。


手を握ったら結婚しなくてはならない、
ということはないけれど、

キスをしたら結婚しなくてはならないわ。


彼女にとっては、
キスをするということは、
身体全体が結ばれることと、
意味としては同じ、だったのです。


したがって、
キスをするということは、
結婚を前提にします。


結婚は、
自分の家柄にふさわしい、
経済的にも自分の生活水準を
維持するに足りる相手を望んでいました。


最初の来訪の折には、
別れたばかりの前彼は彼だ、
と少し距離を置いて
説明してくれました。


若い実業家でハンサムな男性でした。


婚約をするというときに、
どうやら他の女性と
何かあったようです。


それで別れたといいます。


2回目の訪問の際には、
同地域の自動車販売会社の
御曹司と交際しており、
婚約寸前である、とのことでした。


その彼の運転するマセラーティに乗り、
日中のプールサイドでカクテルを
飲みました。


夕食は、その友人である半子爵
(家系上、半分が子爵)とともに、
古城跡を用いてできたレストラン
で、生ハムをメロンとともに食べたりしました。


とても、こうした生活を
維持する自信は当時の私には
ありませんでしたし、

そもそも、私は
プロフィールでも書いたように、
小柄の女性が好みでした。


仮称藤井さんも
154センチでしたし。


ともかく、
手を握っても
結婚しなくてもよい

が、

キスをしたら結婚しなくては
ならない、というのが
そこの社会だったのです。


これは、どうやら
この地に来る前に
訪れた、ヴェローナと
共有の考えだったようです。


言われてみれば、
ロミオとジュリエットも
ほとんど初対面で
キスをし、結ばれ、

あの世に旅立ったのでした。


キスとは命がけの
行為だったのです。



北西イタリアでの命の長らえ方

魅力的な女性と出会っても
握手にとどめる


ご精読ありがとうございます。


懐中温泉